柳家喬太郎・笑福亭三喬「東西笑いの喬演」
3月15日(金)大阪市立こども文化センターへ。
- 高橋樺子/がんばれ援歌
- 笑福亭三喬/近江八景
- 柳家喬太郎/小政の生い立ち
- 林家たけ平/扇の的
- 柳家喬太郎/擬宝珠(ぎぼし)
- 笑福亭三喬/佐々木裁き
2年前に東日本大震災が発生した日、ちょうどこの会が開催されていた(その日の記事はこちら!)。そこで今回、冒頭で被災地支援を目的とした応援歌が歌われ、CD販売もあった。僕は落語を聴きに来たのであって、演歌を無理やり聴かされてはっきり言って迷惑極まりなかった。これが歌手デビューだそうで、売名行為以外の何物でもない。高音は外れているし、聴くに耐えない。「負けたらあかんで がんばろう」という陳腐な歌詞、全てが偽善的で不快であった。つまらんCD買わせるんじゃなくて、義援金の募金箱にすべきだったのではないだろうか?志は理解出来るが、やり方が間違っている。主催者の「みほ企画」に反省を促したい。また、上方落語「無いもん買い」をもとに服部良一が作詞・作曲した「買い物ブギー」(1950)も歌われた。
落語会そのものは充実していた。
「近江八景」は桂米朝さんの口演をDVDで鑑賞したことがあるが、生で聴くのは初めて。三喬さんは八景に膳所(ぜぜ)が入っていないのは、膳所城から眺めた風景だからという説を紹介(サゲの伏線になっている)。また「者」がつく職業(医者、芸者、役者、易者)は「上から目線」というマクラが秀逸だった。
「落語って面白いもんですねー、人によりますけれど」と喬太郎さん。「旅行」と比べると「旅」という言葉は重いと。例えば「旅に出ます」。またウエストポーチして東京駅をウロウロしていたら警察官から職務質問を受けたエピソードを披露。「小政の生い立ち」は浪曲ネタ。
たけ平さんは「ラマン(愛人)の法則」という出鱈目な理屈を展開。男の年齢を2で割り、7を足すと愛人に丁度いいというのだ。後から出てきた喬太郎さん。「私は今年50歳になりますので、32歳ですね。(舞台)袖で計算しました」場内は爆笑の渦に。また「弁慶ぎなた式(ぎなた読み)」という言葉を初めて知った。
仲入りを挟み喬太郎さん「昨年はウルトラセブンと私の師匠・さん喬の45周年という記念すべき年でした」そして初代ウルトラマンと、帰ってきたウルトラマン=ウルトラマンジャックはスペシウム光線を発射する姿勢が違うのだと熱弁を振るった。あと大阪のインデアンカレーが美味しいと。また三遊亭白鳥さんが若いころ古今亭志ん朝さんの前座で訳の分からない新作落語を演じ、お客さんがさぁ~っと引いていき、志ん朝さんが舞台袖で「いいねぇ、潮干狩りが出来る」と言ったというエピソードを披露。「擬宝珠」は明治の新作落語で喬太郎さんが復活させたもの。冒頭部、若旦那が気病(きやまい)で手伝いの熊五郎がその原因を探るためやって来るところまでは「崇徳院」と同じ。しかし、その真相は……!!赤塚不二夫的ナンセンスな展開でびっくり。はっきり言って変態の噺で、清々しいくらいバカバカしく、面白かった。
トリの三喬さん、佐々木信濃守の容姿は「青長白」だと。髪の剃り跡が青、面長で色白ということ。また大阪では「浜」、京都では「河原」、東京では「河岸(かし)」と、所によって言い方が違うと。またある講釈師が「雀落の暑さ」と言っていて、それが後で造語だと知り感心したという話が印象的だった。
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