ゼロ・ダーク・サーティ
評価:A
アカデミー作品賞、主演女優賞、オリジナル脚本賞など5部門にノミネート。2001年9月11日の同時多発テロ以降、アメリカがウサーマ・ビン・ラーディンをどう追い詰めていったかが克明に描かれる。
映画公式サイトはこちら。ちなみに「ゼロ・ダーク・サーティ」とは軍事用語で午前0時30分のことだそう。
監督は「ハート・ロッカー」で女性として初めてアカデミー監督賞を受賞したキャスリン・ビグロー。
上映時間157分の長尺を全く感じさせない緊張感、充実感。ビン・ラーディンが発見・殺害されたのが2011年5月だから、たった1年強でこれだけのリサーチ、脚本・映像化を実現した能力は驚嘆に値する(北米公開は2012年12月)。
主役のCIA情報分析官を演じるジェシカ・チャステインは巨匠テレンス・マリック監督の「ツリー・オブ・ライフ」でGrace=〈神の慈愛〉を象徴する母親役だった。今回は全く対照的で颯爽としてタフ、格好いい役柄。しかし最後、ビン・ラディーンの死体を確認した時の彼女の表情に勝利の満足感とか歓びはなく、むしろ人間の心の闇、底知れぬ深淵を覗きこむような、虚無感しかなかった。圧倒的な孤独。テロとの闘いの不毛さを表すこのシーンの演技が最高!痺れたね。
必見。
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