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2013年1月 5日 (土)

大阪初上陸!ミュージカル「ミス・サイゴン」

梅田芸術劇場で「ミス・サイゴン」を鑑賞。

僕は今から20年前、1992年に帝国劇場初演を観ている。2004年、08年にも帝劇で再演され、09年には博多座上演もあったが、大阪には一度も来なかった。その理由はコンピューター制御の大掛かりな舞台装置にあった。

サイゴン陥落の時に米兵救出のため実物大ヘリコプターが舞い降りるのだが、梅芸(旧:劇場飛天)にはその装置を収納する舞台下の「奈落」スペースがなかったのである(写真を参照あれ→博多座の場合)。オリジナル演出はニコラス・ハイトナー。以前観た感想は下記。

しかし今回演出が一新され、大阪公演を含め日本11都市でのツアーが実現した。新演出を担当したのはローレンス・コナー。「オペラ座の怪人25周年記念コンサート」や「オペラ座の怪人」全英ツアー版、「レ・ミゼラブル」ツアー版も演出した人。装置が簡素になり、ヘリコプターは映像処理となった。またオリジナルにあった共産政権後のホーチミン巨大全身像は、

Saigon3

上半身だけの胸像に代わり、威圧感が失われた。 ただヘリコプターに関しては、思っていた程の違和感はなく、中々リアルで悪くなかった。「アメリカン・ドリーム」など振付に大きな変更はなく、新演出がすんなり受け入れられた。

またエレンの歌"Now that I've seen her"がカットされ、新曲"Maybe"に差し替えられた。これも印象的でいい曲。

「ミス・サイゴン」の構想は1枚の写真から始まった。

Photo

アメリカ兵との間に生まれた娘の幸せを願い、(恐らく娘が会ったこともない)父親のいるアメリカに旅立たせるベトナム人の母親。空港における痛切な別れの光景だ。

観劇したキャストは以下の通り。

1回目
Saigon1

2回目
Saigon2

エンジニア:市村正親、キム:笹本玲奈/新妻聖子、クリス:山崎育三郎/原田優一、ジョン:岡幸二郎、エレン:木村花代、トゥイ:泉見洋平

初演からエンジニアを演じる市村さんは文句なし。野太い声で絶唱する玲奈ちゃんの気迫に魂を奪われたし、新妻さんも心を込めた歌唱でどちらも甲乙つけがたし。クリス、ジョン、エレン役もとにかく「歌える」人が揃っていて気持ちがいい!ハイ・クオリティーな舞台を堪能した。脇役など総体的に初演キャストより確実にレベルは上がっている。

関西弁のアドリブを交えてくれた市村さんのサービス精神も嬉しかった。是非また大阪に来て下さい!

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コメント

新演出を良しとする人は多いみたいですね。ヘリコプターの場面も想像力を逆にかきたてて、むしろよいと言う人もいるようですが……私は断然「本物のヘリコプターが出てくるほうが言いに決まってるじゃん!」派です。市村さんのアメリカンドリームも、米ドル札をにらみつけて終わる演出のほうが好きです。上を向いて終わるほうがかっこいいのはかっこいいけど……。
 私は2004年・ 2008年と2回みただけなんですが、つまりはショック!!でした。大阪で観ることができる良さもありますよ。だけど、新演出、ということは もう帝国劇場でも前の演出では行なわないのでしょうか。 もう二度と観るか!と思ってはいますが、きっとまた観ちゃうんですよ。きっとね。

投稿: ディズニーラブ | 2013年1月 5日 (土) 21時02分

ディズニーラブさん

プロデューサーのキャメロン・マッキントッシュ(つい最近、彼がゲイであることを知りました)は、いわゆる「スペクタクル・ミュージカル」で世間を驚かせ、世界中で大ヒットを飛ばしてきました。「オペラ座の怪人」の落下するシャンデリア然り、「レ・ミゼラブル」のバリケード然り、そして「ミス・サイゴン」の実物大ヘリコプターもそうです。

しかし大掛かりな装置の弊害として、上演出来る劇場が限られるという問題点がありました。それから20年以上経過し、上記作品群は名作として認知され、虚仮威し(こけおどし)、ハッタリなど必要なくなりました。むしろ首都圏以外の多くの人々に出会って欲しい、そういう願いを込めた新演出(規模縮小)なのではないでしょうか?ぼくはその方針を肯定し、支持します。「レ・ミゼラブル」も今年、新演出となりバリケードがショボくなるのは必定ですが、いいじゃないですか!覆水盆に返らず。今まで十分愉しませてもらったんですから、門戸を開きましょう。

投稿: 雅哉 | 2013年1月 8日 (火) 00時23分

なる程、納得です。私は、新演出なるものがどんなものか知らず、勝手に「大阪にミスサイゴンがくるの? いいヘリコプターができたんだね。狭いところでも飛べるヘリコプターが!」と思い込んで、観たものですから、リアルに「えーっ!?」と大声をあげてしまいました。(胸像のところぐらいから、不安がたちこめていたのですけれど。)
 「門戸を開く」、そうみんなで楽しみましょうよ、ミュージカルの世界を! …… …… …… トホホ。

投稿: ディズニーラブ | 2013年1月 8日 (火) 21時38分

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