桂吉弥独演会「あたま山」「蛸芝居」「にょろにょろ」
1月11日(金)心斎橋大丸劇場へ。桂吉弥さんの独演会。客席は男女比が1:1くらい。
- 桂弥太郎/狸賽(たぬさい)
- 桂吉弥/あたま山(別名:さくらんぼ、小佐田定雄 改作)
- 桂佐ん吉/いらち俥
- 桂吉弥/蛸芝居
- 桂吉弥/にょろにょろ(吉弥 作)
吉弥門下に入門三年目の弥太郎くんは久しぶりに聴いたが、随分達者になっている。語り口に味がある。古風な雰囲気(「あんさん、今時のお方やおまへんな」)も噺家に相応しい。
吉弥さんの出囃子は「真室川音頭(まむろがわおんど)」。これは山形県の民謡で、歌詞が色っぽくて好きだと三番まで歌われた。ご当地での落語会も決まったそう。
「あたま山」は桂枝雀さんが生前高座によく掛けていたとマクラで。SFちっくな噺で、「枝雀師匠はSRという不思議なShort&SF Rakugoもされていました」とSR「定期券」を紹介し、ネタへ。気楽な男がいいね。
「蛸芝居」のマクラは昨年亡くなった中村勘三郎さんの話題。息子の勘九郎(旧・勘太郎)くんとは三谷幸喜脚本の大河ドラマ「新選組!」で共演後仲良くなり、今でもよく飲みに行く仲だが、お父さんと直々にお話する機会がなく、とても残念だったと。ネタの方だが、歌舞伎の所作では弟弟子のよね吉さんの方が美しいと僕は想うが、吉弥さんの長所はコミカルで陽気、親しみやすい点にある。
仲入りをはさみ、いよいよ待望の新作落語。「正月に必死で原稿書いて、一昨日ようやく出来た」のだそう。「にょろにょろ」とは意表を突き、洋食屋の名前!その由来は……。店主の息子=勘九郎が看板料理のオムライスを修行中だが、レシピは教えてもらえない。自分で工夫しろと。ある日常連客の言葉がヒントになり、そっくり同じ味のオムライスを完成させる。しかし親父はそれを喜ばず……。といった展開。ここに勘九郎さんの襲名への想いを重ね、さらに吉弥さんの師匠・吉朝の芸をどう受け継ぐか?(単なる劣化コピーには絶対ならない)という決意表明にもなっているという三重構造がお見事。ただサゲは吉弥さんが言う前に安易に想像出来るところが残念。改善の余地あり。
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