ロータス・カルテット&セバスティアン・マンツでブラームス三昧
12/6(木)いずみホールへ。
ロータス・カルテット&セバスティアン・マンツで、オール・ブラームス・プログラム。
- 弦楽四重奏曲 第1番 op.51-1
- 弦楽四重奏曲 第2番 op.51-2
- クラリネット五重奏曲 op.115
弦楽四重奏曲は交響曲第1番より前、初期の作品。一方、クラリネット五重奏曲は交響曲第4番以後の晩年の作品なので作風が異なる。この相違については下記記事で詳しく解析した。
上に書いた通り、クラリネット五重奏曲を支配する気分は秋の憂愁と諦念なのだが、それは例えばチャイコフスキー/交響曲第6番「悲愴」を貫く絶望・虚無感とは異なる。むしろ晩年のブラームスは自分の宿命を受け入れ、穏やかさ、安息感がある。抹茶のようにほろ苦く、味わい深い名曲だ。
ロータス・カルテットは結成20年。第2ヴァイオリン奏者のマティアス・ノインドルフ(元シュトゥットガルト弦楽四重奏団第1ヴァイオリン奏者)以外の3人は日本人女性である。アンサンブルは緻密で水も漏らさぬ印象。先日同ホールで聴いたウィーン弦楽四重奏団の年齢から来る「綻び」とは対照的。雨にそぼ濡れたような、しっとりした音色に魅了された。ただチェロが弱いのが些か気になった。歌心はあるのだが、もっと ー例えばジャクリーヌ・デュ・プレのようなー 激しさとか、力強さが欲しいなと想った。
マンツは”滅多に1位を出さない”ことで有名なミュンヘン国際音楽コンクール・クラリネット部門で40年ぶりとなる第1位に輝いたそうである。←40年ぶりって!?
柔らかく、繊細な音色。抜いた弱音の美しさが際立ち、ゾクゾクした。この人はとにかく、ブレス・コントロールが絶妙である(フルートで言えばエマニュエル・パユがそうだ)。北風に枯れ葉が舞う情景が目に浮かぶようだった。
アンコールは
- モーツァルト/クラリネット五重奏曲 第2楽章
19時開演で終わってみると21時35分。たっぷりブラームスの世界に浸った。
なおカメラが4台入っており、当日の模様は2/12(火)NHK-BS クラシック倶楽部で放送される予定である。
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