大フィル/吹奏楽 meets オーケストラ(丸谷×下野×須川)
11月30日(金)ザ・シンフォニーホールへ。
下野竜也/大阪フィルハーモニー交響楽団のスペシャルライブ。司会進行は大阪府立淀川工科高等学校吹奏楽部顧問の丸谷明夫先生(以下「丸ちゃん」と呼ぶ)。この企画は5回目で、僕は皆勤。今年のゲストはサクソフォン奏者で元・東京佼成ウインドオーケストラ・コンサートマスターの須川展也さん。
- R.ジェイガー(中原達彦 編)/シンフォニア・ノビリッシマ【管弦楽版】
- ヴェルディ/歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲
- イベール/アルト・サクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲
- ドビュッシー(デュカ 編)/サクソフォンのためのラプソディ
- J.S.バッハ(A.リード 編)/主よ人の望みの喜びよ【管弦楽版】
- プッチーニ/菊【弦楽合奏版】
- レスピーギ/交響詩「ローマの松」
- スーザ/海を超える握手(アンコール)
元々この企画を始めた時には、吹奏楽ファンとクラシック・ファンの垣根をとり払うという意図だったが、現在ではむしろ好きな曲をやるという方向性に変わってきた、と下野さん。
「シンフォニア・ノビリッシマ」は僕自身演奏したことのある、お気に入りの曲。序奏はゆったり威風堂々とした佇まい。主部に入ると颯爽として速いテンポに。パワフルな演奏。そして美しい中間部。ここはオーボエのソロにヴィオラがトレモロでしっとり寄り添う。永遠へのあこがれ。弦のカンタービレにウットリ!
「シチリア島の夕べの祈り」を下野さんが初めて聴いたのは30年前、丸谷/淀工の演奏がNHK-FMで放送された時だそう。そういう思い入れがある曲だという。ただ下野さんのイタリア・オペラはなんだかモッサリしていて鈍重。これはいただけない。適性の問題だろう。
2012年4月4日、丸ちゃんは「吹奏楽の甲子園」普門館で東京佼成ウインドオーケストラを指揮、「マルタニズム」というタイトルでCD,DVD,Blu-rayが発売となった。詳細は→こちら!僕もBlu-ray版を所有している。
実はこの時、既に須川さんは東京佼成を辞めていたが、「須川さんがコンマスを務めてくれるなら振る」という丸ちゃんの期待に応えたのだそう。
須川さんの音は柔らかく、繊細なヴィブラートが耳に心地よい。色気がある。イベールは機知に富む。月夜の山でハイウェイ・ドライブを愉しんでいるような雰囲気。終楽章は遊び心が満載で、おもちゃ箱をひっくり返したよう。
ドビュッシーは霧の湖に水鳥が憩っているような幻想的風景が浮かび上がる。ジャズ系のブイブイ吹き鳴らすサックスとは対照的な世界。ちなみにこの楽器は1840年代にフランスのお隣、ベルギーのアドルフ・サックスにより考案された。
「アルメニアン・ダンス」「エル・カミーノ・レアル」で有名な作曲家アルフレッド・リードは「主よ人の望みの喜びよ」の吹奏楽用編曲とともに管弦楽版も残した。僕は高校生の時、吹奏楽部のパート練習(フルート)でこの曲のアンサンブルをしたことがあり、その時の午後の教室、そよ風に揺れるカーテンの情景が蘇るような錯覚に囚われた。
プッチーニ「菊」の原曲は弦楽四重奏曲だそう。甘美で、やはりイタリアの血だろうか、どこかニーノ・ロータの音楽に通じるものを感じた。
「ローマの松」は引き締まったリズムでキビキビした解釈。
アンコールの「海を超える握手」は恒例となった丸ちゃんの指揮!「ローマの松」のバンダ(金管別働隊)と須川さんも加わったダイナミックな演奏だった。
来年のプログラムは既に発表されており、保科洋/風紋【管弦楽版】が楽しみだが、下野さん&丸ちゃん!僕はカレル・フサ/プラハ1968年のための音楽【管弦楽版】がどうしても聴きたいんです!再来年こそはどうかよろしくお願いします。
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