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飯森範親&岐路に立つ大阪市音楽団 定期

11月7日(水)ザ・シンフォニーホールへ。

Shion

大阪市音楽団(市音)の定期演奏会を聴く。ここは全国で唯一、地方自治体が運営するプロの吹奏楽団である

しかし2011年12月19日に橋下徹氏が大阪市長に就任すると、市音を民営化する方針を打ち出した。

今年6月には俊英・山田和樹 指揮で市音定期が予定されていたが、これで急遽中止となり、1年ぶりの定期演奏会となった。

橋下さんは大阪府知事時代に、大阪(現・日本)センチュリー交響楽団を運営する財団法人に対する府からの年間4億円の補助金打ち切りを表明した。これに対し有識者や労働組合が中心となり「大阪センチュリー交響楽団を応援する会」を立ち上げ、「大阪からオーケストラ文化の灯を消すな!」を合言葉に全国から10万7千人の反対署名を集めた。しかしその実態はコンサートに行けない未就学児童を含む家族全員の名前を書いたり、大阪府在住ですらない人たちが署名するといった有様だった。署名した10万7千人のうち、果たして何人がその後センチュリーのコンサートに足を運んだのであろうか?仮にこの人達が全員、毎年4千円出せば、年間4億の補助金を賄えた筈である。結局センチュリーへの補助金は打ち切られたが、楽団は未だ存続している。

さて、今回白羽の矢が当たった飯森範親さんは2009年定期に登場し、「華麗なる舞曲」などを振った。僕のレビューはこちら。その時はS席3,000円(前売り2,500円)、A席2,500円(前売り2,000円)だった。

それがS席5,500円、A席4,500円と一気に値上がりし、昔なら8割以上は埋まっていた客席も6割程度と閑散としていた。中高生はこの値段だとキツイだろう。

  • 西村朗/秘儀 I -管楽合奏のための
  • 和田薫/吹奏楽のための俗祭
  • 真島俊夫/三つのジャポニスム
     I. 鶴が舞う II. 雪の川 III. 祭り
  • 三善晃/吹奏楽のための「クロス・バイ マーチ」
  • 山下康介/ブルー・ファンタジア
  • 三枝成彰(長生淳 編)/交響組曲「機動戦士Zガンダム」
     I. Zガンダムのテーマ II. 戦争と平和 III. 恋人たち
  • 和田薫/吹奏楽のための土俗的舞曲(アンコール)

秘儀 I 」は複雑なリズムで土俗的。トランス状態になったシャーマン(巫女)がのたうちまわり、踊り狂う情景が克明に活写される。

吹奏楽のための俗祭」は冒頭のホルンが日本の山々を連想させ、夏祭りの気分が盛り上がる。パンチが効いてノリノリ。作曲した和田薫さんが会場に来られており、飯森さんとのトークあり。

三つのジャポニスム」は明晰で透明感ある演奏。端正な中に和の美が感じられる。I. 鶴が舞うはダイナミックで切れがある。II. 雪の川は日本の叙情豊か。狂騒のIII. 祭りは速いテンポでぶっ飛ばし、スカッとした。3年前このコンビによる「華麗なる舞曲」の爆演を想い出した。

クロス・バイ マーチ」は旋律が複雑に絡み合い、まるでアイヴズの交響曲や「宵闇のセントラル・パーク」のよう。

航空自衛隊中部航空音楽隊のために作曲された「ブルー・ファンタジア」は晴れ渡る青空を飛行機が飛んでいくような気持ちのいい曲!クライマックスで飯森さんの指揮棒が吹っ飛んだのも面白かった。これは難易度が低そうなので、小学生バンドでも演奏可能かも知れない。

機動戦士ZガンダムI. Zガンダムのテーマ は勇壮で格好よく、ロマンティック。II. 戦争と平和 はシャープで畳み掛けるような緊迫感があった。特にティンパニの太鼓連打は凄まじい迫力で、突如甘美なメロディーが登場するのも意外性があって面白い。III. 恋人たち はヘンリー・マンシーニの「シャレード」みたいに洗練され、心浮き立つ音楽だった。金管の響きが輝かしい。

アンコールの「吹奏楽のための土俗的舞曲」は1984年度吹奏楽コンクール課題曲。これを作曲した当時、和田薫さんは21歳で、同世代の飯森さんは桐朋学園大学指揮科在学中。母校の高校に頼まれ、この曲を指導したそう。沸騰するリズム。「ゴジラ」で有名な伊福部昭の影響が色濃く感じられた。

最後に飯森さんから次のような旨のご挨拶があった。「ここにいらっしゃっている皆様は市音が置かれた状況をよくご存知のことと思います。この大阪の宝を今後も応援して頂きたい。私も微力ながら出来る事をしていきたい」客席から温かい拍手が沸き起こったことは言うまでもない。

「大阪市は大阪市音楽団を見捨てるな!」「大阪の大切な文化の灯を消すな!」「橋本市長の暴挙は許せない!」とネット上で叫んでいる人たちが数多くいる。どうかそういう方々にお願いしたい。綺麗事ならいくらでも言える。口先だけではなく市音の有料公演に実際足を運び、お金を落として頂きたい。友の会(年間3,000円)に入会されると尚更いい。それこそが真の意味で楽団を「支える」ということだ。行動が伴わなければ意味はない。

次の演奏会は11月23日(金・祝)@ザ・シンフォニーホール。宮川彬良さんとの炸裂ライヴ!「宇宙戦艦ヤマト」も演奏される。詳細は→こちら。是非会場を満席にして、市音ファンの心意気と覚悟を示そう。僕も勿論、聴きに行きます。

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