バッハ・コレギウム・ジャパン/メンデルスゾーン《パウルス》
10月12日(金)、神戸国際会館こくさいホールへ。
鈴木雅明/バッハ・コレギウム・ジャパン(コンサートマスター:寺神戸亮)でメンデルスゾーンのオラトリオ「聖パウロ」全曲を聴いた。ユダヤ教からキリスト教に改宗したパウロを題材にしたオラトリオ。作曲者自身もユダヤ人家庭に生まれたが、7歳の時に父が子どもたちをプロテスタント(ルター派)に改宗させている。
聴いて想ったのは、これはJ.S.バッハ「マタイ受難曲」の続きみたいな作品だなということ。メンデルスゾーンが、当時人々から忘れ去られていた「マタイ受難曲」を100年ぶりに蘇演したことはあまりにも有名。彼が20歳の時である。そして「パウルス」は26歳の作品。
メンデルスゾーンという作曲家は穏やかで、幸福感に満ちた曲を書くというイメージを抱いていたが、本作でそれは見事に覆された。音楽は劇的であり、時に激しい感情をむき出しにする。逆説的だが、むしろこの宗教音楽の方が彼の交響曲などより「人間的」かも知れない。最高傑作と呼んでも過言ではないだろう。本作をオリジナル楽器で聴けたことは僥倖であった。
ソプラノ:澤江衣里、バス:ドミニク・ヴェルナーらが好演。レコーディングを待望する。
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