炸裂ライヴ!宮川彬良&大阪市音楽Dahhhhn!
11月23日(祝)ザ・シンフォニーホールへ。
宮川彬良(以下、親しみを込めてアキラと呼ぶ)/大阪市音楽団の演奏会。先日の市音定期では客席の入りは6割程度で閑散としていたが、今回は8割強。1階席は9割埋まっていた。
第1部は「宮川音楽の勉強会」あり。すべての編曲はアキラの手による。
- 宮川泰/「宇宙戦艦ヤマト」より
ファンファーレ
サスペンス
組曲「宇宙戦艦ヤマト」(序曲・宇宙戦艦ヤマト・出撃・大いなる愛)
探索艇
無限に広がる大宇宙
艦隊集結
月のクレーター
美しい大海を渡る(イスカンダル)
ワープ
地球を飛び立つヤマト
コスモタイガー2199ver. - 萩原哲晶/クレージーキャッツ・メドレー
(スーダラ節-ホンダラ行進曲-無責任一代男-ハイそれまでヨ) - 宮川泰/ゲバゲバ90分
- 宮川彬良/バレエ音楽「欲望という名の電車」から
アキラから「(民営化問題で)急に注目されるようになった大阪市音楽音楽Dahhhhn!です」と紹介あり。「楽員はみな、胸を、いや、頭を焦がす想いで日々活動しています。是非、応援してあげて下さい」と。「また今年注目されているというと、宇宙戦艦ヤマトがあります。現在、宇宙戦艦ヤマト2199というリメイク作品が製作進行中です。なんと!その音楽を担当しているのが私、宮川彬良なんですねぇ」ここで会場から拍手。「宇宙戦艦ヤマトは今から38年前にテレビで放送されましたが、視聴率はよくありませんでした。裏番組が『アルプスの少女ハイジ』だったのです。しかしその後映画化され、徐々に人気が上がって来ました。父・宮川泰はテレビのために73曲を作曲、その後続いた一連のシリーズでは920曲に達しました。楽譜は一切残っていなかったので、今回のリメイクに当たり私は音楽を聴いてスコアを書き起こしました。つまり耳コピです」
ここで「みのもんたの朝ズバッ!」みたいなフリップが登場。勉強会に突入。
- ヤマトは意外とロックである
- 降り注ぐプロデューサーからの無理難題
と書かれていた。
「ヤマトは映画『サタデー・ナイト・フィーバー』より前の時代の作品で、当時は未だロックが主流だったのです」探索艇というナンバーにはエレキギターやマラカスが使われており、無限に広がる大宇宙ではドラムスが活躍する。また、この曲は葬式のイメージで書かれ、低音が下がってくるところは宗教的でバッハを連想させるとも。
艦隊集結という曲はファンの間で「ベン・ハー=ヤマト」とも呼ばれているそうで、ミクロス・ローザが作曲した映画「ベン・ハー」の音楽と聴き比べ。確かに似ている。「多分プロデューサーから『ベン・ハーの戦車競争シーンのイメージで』と言われたのでしょう」また空母の整列という曲もあるそうで「どう違うんだ!」と。
アキラは子供の頃から美しい大海を渡る(イスカンダル)が大好きで、そのことを父親にも言ったが、反応が何だか曖昧だった。すると今年、あるアニメ評論家からこう指摘されたそう。「宮川さんご存じなかったんですか?あれはプロデューサーから『オズの魔法使い~”虹の彼方に”みたいな曲を書いて欲しい』と要望があり、誕生した曲なんですよ」これを聴いて目から鱗が落ちたという。ここで(前半)美しい大海を渡る~(後半)虹の彼方にを続けて演奏。そっくりなので場内爆笑となった。
ワープはエレキ・ギター、ピアノ、ドラムスという3つの楽器だけで表現。「オーケストレーションする時間もなかったのでしょう。でもその悪条件を逆手に取り、ここには《そぎ落としの美学》があります」とアキラ。コスモタイガー2199ver.はムチャ格好いい曲!
市音の演奏はサウンドに厚みがあり迫力満点。金管の咆哮が気持ちいい。アキラはメリハリに富む指揮ぶり。
クレージー・キャッツ・メドレーはコミカルで洒落たアレンジ。
ゲバゲバ90分は「今や市音のテーマ曲だと僕は勝手に言っています」とアキラ。これは楽員が立ち上がったり回転したりと振り付けもあり、実に愉快だ。
「欲望という名の電車」I.鏡~回想はJazzyな曲。II.街は都会の喧騒。III.孤独はアルト・サックスのソロ。IV.賭博は暴力的でパンチが効いている。打楽器奏者の高鍋さんがボンゴを叩き、奇声を上げる場面も。V.少年は美しくロマンティック。デイヴィッド・ラクシンが映画「ローラ殺人事件」のために書いたテーマを想い出した。VI.愛欲を経てVII.迷宮はアキラがアコーディオンを弾く、哀切極まるワルツ。そしてVIII.幻はやすらぎと許しの音楽。僕がこの曲を聴くのは今回2回目だが、好きだなぁ。
アンコールは、
- いずみたく/見上げてごらん夜の星を(ファイブ・サックス・コンチェルト)
- 宮川彬良/大ラッパ供養
- 宮川彬良/マツケンサンバ II
大ラッパ供養はトランペットがコープランド「市民のためのファンファーレ」みたいな厳かなメロディを奏でるところから始まるのだが、途中からホーン・セッションがノリノリで吹き鳴らし、ビル・コンティの「ロッキー」的展開へ。ワクワクする!
午後2時開演で終わってみると4時24分。出血大サービスのご機嫌な演奏会だった。市音に幸あれ!
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