鍵泥棒のメソッド
評価:A
出演は堺雅人、香川照之、広末涼子ほか。ハワイ国際映画祭コンペティション部門で作品賞を受賞。映画公式サイトはこちら。
内田けんじ監督は「運命じゃない人」(2005)から脚本の上手さに舌を巻いた。本来なら出合う筈のない人々が、ひょんなことを契機に運命の糸で結ばれ、物語がダイナミックに転がり始める。それは堺雅人が出演した「アフタースクール」(2008)にも共通する特徴であった。
「鍵泥棒のメソッド」でキー・パーソンとなるのは貧乏役者(堺)、伝説の殺し屋(香川)、雑誌編集長(広末)。全く関係のない人々である。そして内田監督一流の手腕によって、彼らがひとつの物語を紡いでゆく意外性の快感。洒落ている。映画を撮るごとに内田監督の洗練度は増していくのだから、天晴れである。
広末のテーマ曲がモーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲で、香川が冷静に仕事をこなす時にカーステレオで聴いているのがベートーヴェン/弦楽四重奏 第14番というのも愉しい。ベートーヴェンのカルテットは重要なガジェットとしてあるトリガー(引金)の役割も果たす。ネタバレになるのでこれ以上言えないのは辛いが、とにかく観て!「してやられた」ときっと想うから。
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コメント
ぐいぐい引き込まれる映画でした。時間さえあったらもう一回観たいです。
投稿: ディズニーラブ | 2012年10月21日 (日) 15時54分
ディズニーラブさん、仰る通りです。痛快な映画でした。
投稿: 雅哉 | 2012年10月22日 (月) 07時32分
傑作ですね、TBさせてください。
投稿: hitomi | 2012年11月 4日 (日) 15時47分