第4回 柳家喬太郎独演会@トリイホール
10月28日(日)トリイホールへ。
- 桂しん吉/地下鉄(林家染語楼 作)
- 柳家喬太郎/あの頃のエース(喬太郎 作)
- 入船亭扇辰/目黒のさんま
- 柳家喬太郎/寝床
鉄ちゃんのしん吉さんは米朝大師匠のお供で青森行の特急「白鳥」ラストランに乗ったことなどをマクラに。生まれ変わったら阪急電車になりたいと夢見るしん吉さんだが、阪急の車体は正式に”マルーン色”と言うそう。マロン(栗)が由来。米朝師匠から「噺家はいつか、そういうの(雑学)が役に立つ」と言われたそう。
林家染語楼(三代目)の新作落語「地下鉄」は昭和30年代、まだ御堂筋線が西田辺から梅田までしか開業していなかった頃、各駅名を織り込んだ作品。ダジャレの連発だが、すこぶる愉快だ。僕は染語楼作の「青空散髪」「猫魔寺」より好きだな。ただこれは御堂筋線に乗ったことがない人には退屈かも。大阪人の聴き手のみ想定した噺という感じ。
意表を突き「ウルトラマン」の出囃子で登場した喬太郎さん。「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野秀明監督が館長を務めた特撮博物館に行って興奮したエピソードをたっぷり。「妖星ゴラス」「突撃!ヒューマン!!」「トリプルファイター」といった単語がポンポン飛び出した。今年はウルトラセブンと、喬太郎さんの師匠・柳家さん喬の(入門)45周年という記念の年なのだとか。愉快なマクラに場内爆笑。
「あの頃のエース」は喬太郎さんの新作にしては勢いやキレがないなと感じたが、なんとこれはつい先日10月6日に池袋演芸場の上席において創った三題噺(お題は「ウルトラマンエース」「ハンカチ落とし」「道具七品」)なのだそう。即興でこの完成度!さすがである。
「ウルトラマンA」は北斗と南が男女合体変身をして新機軸を打ち出した。ところが番組途中で月星人の南が地球を去ったため、北斗一人で変身するようになったとか。このマニアックな設定が巧みにプロットに取り入れられていた。
扇辰さんは初めて聴いたが詰まらなかった。噺も大名に対する揶揄(庶民の怒り)が嫌な感じ。これだから江戸落語は……。
「寝床」は上方ネタだが随所に喬太郎さん独自の工夫が盛り込まれ、飽きさせない。大旦那が丁稚の定吉を思わずハグする場面など実に愉しい。
あちこちから引っ張り凧の喬太郎さんは最近、些かお疲れモードのご様子。またタバコの吸い過ぎか、喉の調子も良くないみたい。噺家は声が商売道具だけに、ご自愛下さい。
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