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2012年10月

仲道郁代、シュタインを弾く!

兵庫県立芸術文化センター小ホールへ。

Naka

仲道郁代さんのフォルテピアノで、

  • モーツァルト/きらきら星変奏曲
  • モーツァルト/幻想曲 ハ短調
  • モーツァルト/ピアノ・ソナタ 第14番 ハ短調
  • ベートーヴェン/エリーゼのために
  • ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ 第8番「悲愴」
  • ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ 第14番「月光」

今回使用された楽器は1790年(モーツアルトが亡くなる1年前)頃に製作されたJ.A.シュタイン モデルを復元したもの。

これを改造したフォルテピアノ修復士師・山本宣夫さんとのトークあり。現代のピアノ弦は1本70 kg(全弦で20トン!)の張力で引っ張られているが、今回使用される楽器は1本たった10 kgのテンションなのだそう。

「この楽器は華奢で繊細な音がします。モーツァルトやベートーヴェンの音楽が生まれた時代の生き証人と言えるでしょう。楽器の発達とともに失われたものも大きいのです」と仲道さん。「(フォルテピアノは)表現の幅が狭いと言う人がいますが、私はそうは思いません。大きな音が出ないので音量(強弱)の幅は狭いですが、表情の幅は広い。ニュアンスが豊かなのです」と。

山本さんはハンマーの皮と塗装のニスに当時のものを使用したそう。ニス一つで音色が変わるという。

モーツァルトの「きらきら星変奏曲」は愛らしく、温かい音がした。続けて演奏されたハ短調の幻想曲とソナタは疾走する悲しみ。凛とした美しさがあった。

「グランド・ソナタ・パテティーク(悲愴的大ソナタ)」という標題はベートーヴェン自身が付けたもの(1798年に作曲)。透明感がある。

仲道さんによると「月光」あたりまで当時のフォルテピアノは(鍵盤の裏側に設置され、膝で押し上げて 操作する)膝レバーしかなかったが、ピアノ・ソナタ 第21番「ワルトシュタイン」あたりにくると現在と同様の足ペダルが登場したそう。

そしてベートーヴェンは「月光」第1楽章を最初から最後まで膝レバーを押し続けて演奏するよう楽譜に指示しているそうである。これをモダン・ピアノの足ペダルで実行すると、複数の音が重なり濁ってしまうため数秒しか踏み続けることは出来ないという。本来はこういう響きがしたんだ!と、目から鱗の体験だった。

アンコールはモーツァルトの「トルコ行進曲」。

仲道さんがシュタインを使用しリサイタルを開くのはこれが初めてなのだそう。貴重で愉しいひとときであった。

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第4回 柳家喬太郎独演会@トリイホール

10月28日(日)トリイホールへ。

  • 桂しん吉/地下鉄(林家染語楼 作)
  • 柳家喬太郎/あの頃のエース(喬太郎 作)
  • 入船亭扇辰/目黒のさんま
  • 柳家喬太郎/寝床

鉄ちゃんのしん吉さんは米朝大師匠のお供で青森行の特急「白鳥」ラストランに乗ったことなどをマクラに。生まれ変わったら阪急電車になりたいと夢見るしん吉さんだが、阪急の車体は正式に”マルーン色”と言うそう。マロン(栗)が由来。米朝師匠から「噺家はいつか、そういうの(雑学)が役に立つ」と言われたそう。

林家染語楼(三代目)の新作落語「地下鉄」は昭和30年代、まだ御堂筋線が西田辺から梅田までしか開業していなかった頃、各駅名を織り込んだ作品。ダジャレの連発だが、すこぶる愉快だ。僕は染語楼作の「青空散髪」「猫魔寺」より好きだな。ただこれは御堂筋線に乗ったことがない人には退屈かも。大阪人の聴き手のみ想定した噺という感じ。

意表を突き「ウルトラマン」の出囃子で登場した喬太郎さん。「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野秀明監督が館長を務めた特撮博物館に行って興奮したエピソードをたっぷり。「妖星ゴラス」「突撃!ヒューマン!!」「トリプルファイター」といった単語がポンポン飛び出した。今年はウルトラセブンと、喬太郎さんの師匠・柳家さん喬の(入門)45周年という記念の年なのだとか。愉快なマクラに場内爆笑。

あの頃のエース」は喬太郎さんの新作にしては勢いやキレがないなと感じたが、なんとこれはつい先日10月6日に池袋演芸場の上席において創った三題噺(お題は「ウルトラマンエース」「ハンカチ落とし」「道具七品」)なのだそう。即興でこの完成度!さすがである。

「ウルトラマンA」は北斗と南が男女合体変身をして新機軸を打ち出した。ところが番組途中で月星人の南が地球を去ったため、北斗一人で変身するようになったとか。このマニアックな設定が巧みにプロットに取り入れられていた。

扇辰さんは初めて聴いたが詰まらなかった。噺も大名に対する揶揄(庶民の怒り)が嫌な感じ。これだから江戸落語は……。

寝床」は上方ネタだが随所に喬太郎さん独自の工夫が盛り込まれ、飽きさせない。大旦那が丁稚の定吉を思わずハグする場面など実に愉しい。

あちこちから引っ張り凧の喬太郎さんは最近、些かお疲れモードのご様子。またタバコの吸い過ぎか、喉の調子も良くないみたい。噺家は声が商売道具だけに、ご自愛下さい。

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月亭遊方のゴキゲン落語会(10/16)

ワッハ上方4F上方亭へ

  • 幕開前戯噺(遊方の日常あれこれ)
  • 老婆の宝くじ(遊方 作)
  • コンビニストアの人々(遊方 作)

月亭遊方さんTHE ONE AND ONLYの会。しかし今回は遊方さんの二番弟子・禄遊(ろくゆう)さんの初高座「味噌豆」あり。Rock you !から命名したそう。ちなみに僕はこれまでに入門仕立の噺家の初高座を4人聴いたが(さろめ、弥生、米市、鈴々)、うち3人が既に廃業している(さろめ以外)。縁起の悪い話でごめんね。禄遊さんは北海道出身。出てくる時からなんだか落ち着きがなかったが、声は大きくひょうきんな感じ。資質としては悪くない。昨年10月くらいから見習いとして付き、今年7月末に入門を許されたそう。

遊方さんによると禄遊さんを家に招き、うどんすきを御馳走したところ、「出汁が美味しかったです」と言い残し帰っていったと。後で奥さんが「あれは一体、どういう意味??」

また最近プリンターを購入し、パソコンとの接続方法が分からずサポートセンターに電話をかけた時のことを語られた。「エプソンの今泉」さんのエピソードに爆笑。

そして福の神「仙台四郎」の瀬戸物を購入した話題に。つんく♂も「仙台四郎」のファンで、モーニング娘。のメンバーにも仙台公演の際に勧めたそう。

コンビニエンスストアの人々」のマクラで、コンビニの店員は客に対して無関心・知らんふりをする接客態度が正しいと。遊方さんの知り合いがある時コンビニで店員から「髪、切ったんですね」と言われ、気持ち悪くなりそこには二度と行かなくなったそう。また遊方さんは「じゃがりこ」ばかり購入していた時期があり、地方への営業から帰り久しぶりに近所のコンビニに行くといつもの場所にじゃがりこがなかった。探している遊方さんを見た店員がすかさず「あ、じゃがりこは配置換えで、あっちに移動しました」と。それを聞いた遊方さんは、あいつら僕が購入した後に「またあの『じゃがりこ野郎』が来た」と笑いながら噂してたんじゃないかと邪推したそう。

ネタ自体はコンビニエンスストアに集う人々のプロファイリング、広がる妄想が愉しかった。

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米アカデミー賞最有力候補「アルゴ」とベン・アフレックの栄光と挫折

ベン・アフレック(40歳)を一躍時の人にしたのは1997年にマット・デイモンと共同執筆した映画「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」がアカデミー脚本賞を受賞した時だった。当時彼は25歳くらい。しかしその後、両者の明暗は分かれた。デイモンはスピルバーグ監督「プライベート・ライアン」、スコセッシ監督「ディパーデッド」、イーストウッド監督「インビクタス/負けざる者たち」そしてジェイソン・ボーン・シリーズに主演し、一躍スターダムにのし上がった。

一方のベンアフは鳴かず飛ばずで、特に彼のキャリアに壊滅的打撃を与えたのが、当時付き合っていたジェニファー・ロペスと共演した映画「ジーリ Gigli」(2003)であった。興業的に惨敗、評論家からも散々な評価で、年間の最低映画を選ぶゴールデンラズベリー(ラジー)賞では最低作品賞最低男優賞最低スクリーンカップル賞(ジェニロペと共に)など7部門を受賞。その後もラジー賞25周年最低コメディ賞を受賞。2000年代最低作品賞にもノミネートされるなど、不名誉な記録が続いた。ちなみにアメリカでの評判があまりにも悲惨だったため、「ジーリ」は日本未公開である(僕はWOWOWで観た)。

しばらくの間、「ベン・アフレック」という名前はハリウッドで物笑い、ジョークのネタに成り下がった。こうして地獄を見たベンアフだったが、タフな彼はヘコタレなかった。どん底から這い上がり、一発逆転・場外満塁ホームランをかっ飛ばしたのが本作「アルゴ」である。

評価:A

Argo

映画公式サイトはこちら

1979年イラン革命時、アメリカ大使館人質事件の救出作戦を題材にしている。ネタバレになるといけないので詳しく書けないのは残念だが、裏テーマとして「ハリウッド賛歌」になっているところが、したたかである。

ハラハラドキドキの連続で、スリリングかつエキサイティング。クライマックス、飛行場からの脱出の場面は劇的で「これ本当に史実通りなの??いくらなんでも作り過ぎじゃない?」と感じられるところもあったが、ケレン味たっぷりで第一級のエンターテイメント作品に仕上がっている。CIAのエキスパートを自ら演じたベンアフは「こんなにいい役者だったのか!」と瞠目させられた。

アメリカの対イラン政策を俯瞰する冒頭部がとても分り易く、歴史の勉強になった。またニュース映像(リアル)と映画用撮影(フィクション)を交互に繋いで臨場感を醸し出す編集が実に巧みである。

来年のアカデミー賞で作品賞・監督賞・脚色賞・編集賞にノミネートされる可能性は高く、受賞も夢ではない。必見。

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オーケストラ・アンサンブル金沢 大阪定期+森麻季

9月23日(日)ザ・シンフォニーホールへ。

井上道義/オーケストラ・アンサンブル金沢、森麻季(ソプラノ)で、

  • ベートーヴェン/交響曲 第6番「田園」
    (休憩)
  • グノー/宝石の歌(歌劇「ファウスト」)
  • グノー/小交響曲
  • ヘンデル/オンブラ・マイ・フ(歌劇「セルセ」)
  • ヘンデル/涙の流れるままに(歌劇「リナルド」)
  • モーツァルト/歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」序曲
      ~岩のように動かずに
  • プッチーニ/ムゼッタのワルツ(歌劇「ラ・ボエーム」)
  • 久石譲/スタンド・アローン(日本語版)
  • プッチーニ/私のお父さん(歌劇「ジャンニ・スキッキ」)アンコール

ベートーヴェンは対向配置でピリオド・アプローチ。1st Vn-2nd Vn-Va-Vc-Cbは8-6-4-4-3。快活でリズムが明確。瞬発力がある。第3楽章は獰猛で猪突猛進する演奏。

森麻季さんの歌声は澄んで透明感があり、繊細なヴィブラートが魅力的。

グノーの小交響曲は軽快で愉しい。

「オンブラ・マイ・フ」はpp(弱音)の美しさ。

「涙の流れるままに」はpure toneで清浄感溢れる。

「岩のように動かず」は軽やかなテクニック。

「ムゼッタのワルツ」はコケティッシュでチャーミング。

「スタンド・アローン」がNHK「坂の上の雲」で放送された時はサラ・ブライトマンによる英語詩だったが、今回は日本語。ボレロ風で、心に染み入る名曲だ。

久しぶりに森さんの美しい声を堪能した。

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児玉宏/大阪交響楽団のブルックナー0番

9月28日(金)ザ・シンフォニーホールへ。

児玉宏/大阪交響楽団で、

  • モーツァルト/ピアノ協奏曲 第25番
  • ブルックナー/交響曲 第0番

ピアノ独奏は田部京子さん。やわらかい音色でデリケートなモーツァルト。ただ、ピアノに弾けるような軽やかさとか歯切れよさが欠けている気がした。

後半は児玉シェフが得意とするブルックナー。交響曲 第0番の存在は知っていたが、習作なのかなと勘違いしていた。プログラム・ノートによると第1番完成後に着手された交響曲で、当初は自筆譜に第2番と記されていた。だがウィーンの著名な指揮者オットー・デソフの前で試演された際に「いったい主題はどこにあるのか」と痛烈な批判を浴び、落胆した作曲家は番号表記を線で消して「anulliert(無効)」という言葉を書き添えたという。

第1楽章冒頭から低弦は明確なリズムを刻み、峻厳と立ち上がる。音楽はガッチリ堅固でライン川のように豊かに流れる。格好いい!

清浄な第2楽章は祈りの音楽。山の上の修道院を連想させる。

第3楽章スケルツォはアントニ・ガウディの設計した尖塔(サクラダ・ファミリア)の如し。ト長調のトリオはちょっとロッシーニ風?

第4楽章導入部は荒野のキリストで、主部に入るとヨハネの黙示録(天使と悪魔の戦い/最後の審判)、やがててそこに差し込む希望の光が描かれているように感じられた(ブルックナーは聖フローリアン修道院やリンツ大聖堂でオルガン奏者を歴任した)。最後の速いコーダは激しく動的。

確かにこの作品はブルックナーが「無効」としたように歪で、出来損ないの交響曲という側面があることは否めない。しかし一方、”成績は悪いけれどひょうきんでクラスの人気者”という見方も出来るだろう。児玉さんはその魅力を最大限に引き出した。

演奏会が終わり会場を後にする際、若い女性客二人が「気持ち良かった!」「最高!」「来てよかった!」と興奮気味に会話しているのが耳に届いた。全く同感である。

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映画「天地明察」

評価:B

Ten

「おくりびと」で米アカデミー外国語映画賞を受賞した滝田洋二郎 監督作品。主演は岡田准一と、宮崎あおい。映画公式サイトはこちら

本屋大賞1位になった冲方丁の原作は読んだが、正直面白くなかった。しかし映画の方は、小説ではイメージしにくい天体観測の場面が具象化され、分かり易かった。

では映画として素晴らしいか?と問われたら首を傾げざるを得ない。大傑作「おくりびと」(筆者の評価はA+)には遠く及ばず、佳作の域を出ない。

出演者たちは各々好演しているが、特に印象を残す者はいない。淡々とした作品である。

僕は滝田監督の「壬生義士伝」(浅田次郎 原作)を救いようのない駄作と考えているのだが、どうもこの人は時代劇が得意じゃないのではなかろうか?「コミック雑誌なんかいらない!」「木村家の人びと」「僕らはみんな生きている」「おくりびと」など滝田監督の代表作は全て現代劇であり、コメディ・タッチが多い。「天地明察」の主人公たちが影の軍団みたいな忍者集団(?)に襲撃される場面は「これは一体、何?」と疑問符が頭の周囲を回った。

「天地明察」で唯一気を吐いたのは久石譲さんの音楽。こちらは文句なし。つまり映画をわざわざ観なくても、サントラCDを購入すれば十分と言えるかも知れない。

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延原武春/大フィルのベートーヴェン1番&9番

9/20(木)いずみホールへ。

延原武春/大阪フィルハーモニー交響楽団で、

  • ベートーヴェン/交響曲 第1番
  • ベートーヴェン/交響曲 第9番「合唱付き」

を聴く。弦は対向配置でノン・ヴィブラート奏法によるピリオド・アプローチ。3年間、全8回に及んだウィーン古典派シリーズも有終の美を飾ることとなった。僕は皆勤賞。

交響曲 第1番(1800年初演)の編成は1st Vn-2nd Vn-Va-Vc-Cb:6-6-4-3-2。コンパクトで小気味よい演奏。瞬発力があった。

交響曲 第9番(1824年初演)の編成は大規模になり10-10-8-6-4に。楽譜に明記されたメトロノームの速度表記に即したテンポ設定。ちなみにメルツェルがメトロノームの特許を取得したのが1816年で、ベートーヴェンがメトロノーム記号を記載し始めたのは1818年頃からと考えられる。

第1楽章から音楽は躍動し、リズミカル!第2楽章は強い意志が漲り、推進力がある。第3楽章は小川のせせらぎのようにしなやかに流れ、目の前に田園風景がすうっと広がる。そして歓喜の第4楽章へ。

シリーズ開始当初は不慣れで、普段の癖から左手の指を揺らして無意識にヴィブラートを掛けてしまう楽員も散見されたが、3年間でしっかり古楽奏法が身についた。完璧な演奏であった。

ぜひ今度は大フィルの定期演奏会で延原さんの勇姿を見たいものだ。出来ればロマン派以降の作品で。

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鍵泥棒のメソッド

評価:A

Kagi

出演は堺雅人、香川照之、広末涼子ほか。ハワイ国際映画祭コンペティション部門で作品賞を受賞。映画公式サイトはこちら

内田けんじ監督は「運命じゃない人」(2005)から脚本の上手さに舌を巻いた。本来なら出合う筈のない人々が、ひょんなことを契機に運命の糸で結ばれ、物語がダイナミックに転がり始める。それは堺雅人が出演した「アフタースクール」(2008)にも共通する特徴であった。

「鍵泥棒のメソッド」でキー・パーソンとなるのは貧乏役者(堺)、伝説の殺し屋(香川)、雑誌編集長(広末)。全く関係のない人々である。そして内田監督一流の手腕によって、彼らがひとつの物語を紡いでゆく意外性の快感。洒落ている。映画を撮るごとに内田監督の洗練度は増していくのだから、天晴れである。

広末のテーマ曲がモーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲で、香川が冷静に仕事をこなす時にカーステレオで聴いているのがベートーヴェン/弦楽四重奏 第14番というのも愉しい。ベートーヴェンのカルテットは重要なガジェットとしてあるトリガー(引金)の役割も果たす。ネタバレになるのでこれ以上言えないのは辛いが、とにかく観て!「してやられた」ときっと想うから。

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劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 【後編】 永遠の物語

劇場版【前編】の感想はこちら

Mado

さて【後編】であるが、【前編】同様、基本的にテレビ版を踏襲している。しかし背景美術、魔法少女変身シーンの作画などには手が加えられ、進化を認める。例えばさやか救出をめぐる会話の場面で象徴的に「人魚」と「一角獣(ユニコーン)」が画面に登場することは上のレビューでも語ったが、これは元々テレビ放送時にはなかったそうである。DVD/Blu-ray発売時に新たに付け加えられ、さらに劇場版では唐草模様があしらわれるといった具合に段階的に改良、バージョン・アップしているのだ。

オープニング・アニメーションで新たな主題歌が登場したことは【前編】で書いたが、旧オープニング・テーマ「コネクト」は劇場版【後編】半ばで登場したのでびっくり。ちょうどテレビ版の第10話(暁美ほむら編)エンディングで流れた位置。で【後編】最後に「コネクト」ロングバージョンが再び流れ、さらに新曲「ひかりふる」がしっとりと歌われる。いい曲だ。

そして2013年に公開される劇場版予告編あり。新章は「叛逆の物語」というサブタイトルが付けられている。今から待ち遠しいね!

僕の作品に対する評価はAAAで変わらない。ただ、これからこの未曾有の傑作に初めて出会われる方は、劇場版よりもテレビ版(全12話)からご覧になることをお勧めしたい。宮部みゆきも言っているように、本作はよき企みに満ち、騙されることの快感がある。その効果(驚き)はテレビ版から入った方が顕著であろう。

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AKB48・増田有華 主演、宮本亜門 演出/ミュージカル"THE WIZ"

 10月7日(日)梅田芸術劇場へ。

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「オズの魔法使い」をミュージカル化した「ウィズ」を観劇。1975年、ブロードウェイでアフリカ系キャストのみで上演され、トニー賞のミュージカル作品賞など7部門受賞。映画版ではダイアナ・ロスがドロシー、マイケル・ジャクソンがカカシ、リナ・ホーンがグリンダ(南の良い魔女)を演じた。

今回の日本版はブロードウェイ(「太平洋序曲」)や、ロンドンのウエストエンド(「ファンタスティックス」)でも演出経験のある鬼才・宮本亜門が挑んだ。

主役のドロシーはAKB48グループ(SKE48,NMB48,HKT48含む)内で大々的にオーディションが行われ、それを勝ち抜いた増田有華が演じた。

他のキャストは、カカシ:ISSA、イブリーン(西の悪い魔女):森公美子、グリンダ:小柳ゆき、ウィズ:陣内孝則 ら。

増田の歌唱力がAKB48でNo.1ということは十分承知していた(SKE48なら古川愛李)。特に公演曲"MARIA"の絶唱は印象深い。しかし今回の成果は想像を遥かに超えていた。ソウルフルでパワフル。1990年に帝劇で本田美奈子が主演した「ミス・サイゴン」を観た時の感動が蘇った。10年に1人の逸材と言い切っても過言ではないだろう。新たなミュージカル・スターの誕生に快哉を叫びたい。

いい役者たちが脇を固めている。ドロシーのおば役・エリアンナが開幕一番に歌うのだが、ここからいきなりハートを鷲掴みされ、ノック・アウト。森公美子小柳ゆきらも素晴らしい。

仲宗根梨乃による振り付けも良かった。カラフルで、時にサイケデリックな衣装も愉しい。

音楽は、はっきり言って「オズの魔法使い」の前章譚(プリクエル)ブロードウェイ・ミュージカル「ウィキッド」より断然優れている。

何度か増田ら出演者たちが客席に降り、観客とハイタッチする演出あり。カーテンコールでは増田の「推しタオル」を掲げるファンの姿を何人か見かけた。

最後に増田から挨拶があり、「私こう見えてメッチャ大阪人なんです!」と。大歓声が巻き起こる。「ドロシーの格好をして、大阪弁で喋るとなんだか変な感じなんですけれど……」で場内爆笑。こうした和やかで、アット・ホームな雰囲気の中で千秋楽は幕を閉じた。

是非再演を期待したい作品である。

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会場にはAKB48グループやプロデューサーの秋元康から花が届いていた。

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劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 【前編】 始まりの物語

「まどマギ」は日本のアニメーション界にとって、21世紀のマイルストーンである。以前にその理由を詳しく書いた。

さて、その劇場版は3部作となることが発表されている。最初の2作がテレビ版の総集編であり、第3作が完全新作となる。

映画公式サイトはこちら

でその総集編【前編】を観たわけだが、これはテレビ版全12話中、第8話の最後までが該当する。基本的にプロットも台詞も同じ。しかし美術(背景画)のクオリティはグレード・アップし、変身シーンなどキャラクターを描くセル画(原画および動画)にも手が加えられている。音楽もリニューアルされ、オープニング・アニメーションは完全新作・新曲となった。また、「巴マミのテーマ」が歌バージョンに進化したのにはびっくりした。

上映時間は130分。【後編】(第9-12話)は109分だそう。こちらは新たな展開が期待出来そうだ。

Mado

梅田ブルク7にて21時25分のレイトショーで鑑賞。客席の入りは8-9割、うち男性客が約9割。20-30歳代が多かった。

やはり今回映画化する最大の意義は海外への輸出であろう。ジャパニメーション世紀の大傑作が、欧米やアジア諸国でどのような評価を受けるのか、世界での勝負が今からとても愉しみである。

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