松尾スズキ 作・演出「ふくすけ」
シアターBRAVA !へ。
「ふくすけ」は91年に悪人会議プロデュースとして初演され、98年に再演されたストレートプレイ。薬剤被害で奇形となった少年(阿部サダヲ)が主人公。宗教ビジネスにのめり込んでいく人びと等、マイノリティーの生態を描く。ホテトル嬢(多部未華子)、盲目の女(平岩紙)、義眼の男、レズビアン、躁鬱の女(大竹しのぶ)、吃音の男(古田新太)などが登場。
松尾スズキは作・演出のみならず出演もこなし、八面六臂の活躍。他に出演はオクイシュージ、皆川猿時、小松和重、江本純子ら。
テレビ局の自主規制を嘲笑うがごとく、放送禁止用語のオン・パレード。タブーに挑戦し、演劇の自由さを謳歌する。
ある意味、映画「フリークス(怪物團)」(1932,米)とか、デヴィッド・リンチ監督「エレファントマン」(1980,英・米)を彷彿とさせる雰囲気があり、最後は皆殺しのカタストロフなのだが、観ていて嫌な気分になるとか、絶望感に囚われるということはなかった。
むしろパワフルでバイタリティに溢れ、「人生は祭だ!共に過ごそう」(映画「8 1/2」)と語りかけてくるフェデリコ・フェリーニ監督作品の如く祝祭的気分になる、摩訶不思議な作品であった。帰宅後調べてみると、確かに松尾さんがフェリーニについて言及している文章を発見した→こちら!フェリーニはサーカスや道化師が大好きだった。その精神が「ふくすけ」にも息づいている。
なお、映画「エレファントマン」で使用された楽曲、バーバー/弦楽のためのアダージョが本作でも流れる。さらに僕が大好きな、芥川也寸志が映画「鬼畜」のために作曲したストリート・オルガンによるテーマが登場したのも嬉しかった。音楽の使い方がめちゃくちゃ上手い!
松尾スズキ、大した才人である。
| 固定リンク | 0
「舞台・ミュージカル」カテゴリの記事
- 木下晴香(主演)ミュージカル「アナスタシア」と、ユヴァル・ノア・ハラリ(著)「サピエンス全史」で提唱された〈認知革命〉について(2023.10.28)
- 石丸幹二・安蘭けい・井上芳雄 /ミュージカル「ラグタイム」待望の日本初演!(2023.10.15)
- 山崎育三郎(主演)ミュージカル「ファインディング・ネバーランド」(2023.10.11)
- 柿澤勇人(主演)ミュージカル「ジキル&ハイド」(2023.07.27)
- 坂本昌行(主演)ミュージカル「ザ・ミュージック・マン」(2023.07.26)
コメント