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新星・山田和樹の「幻想交響曲」!/大フィル定期

9月13日(木)、ザ・シンフォニーホールへ。

山田和樹/大阪フィルハーモニー交響楽団で、

  • 藤倉大/オーケストラのための"tocar y luchar"
  • グリエール/ホルン協奏曲
  • ベルリオーズ/幻想交響曲

Yama

山田和樹さんは1979年生まれの33歳。2009年にブザンソン国際指揮者コンクールで優勝したが、その時の本選課題曲が「幻想交響曲」だった。

イギリスの指揮者ダニエル・ハーディングが1975年、ベネズエラの「エル・システマ」の申し子=グスターボ・ドゥダメルが1981年生まれだからこの辺りと同世代と言えるだろう。

藤倉大さんは1977年大阪生まれ、イギリス在住。尾高賞および芥川作曲賞を受賞している新進気鋭の作曲家である。

"tocar y luchar"(トカール・イ・ルチャール)とはエル・システマの提唱者アブレウ博士が掲げたモットー「奏でよ、そして闘え」を意味する。ドゥダメル30歳の誕生日を祝い作曲され、ドゥダメル/シモン・ボリバル・ユース・オーケストラがベネズエラで2010年に初演した。

ハーモニーがとても美しく、幻夢的。僕の受けた印象では弦が(武満徹的)海と、そこを泳ぎまわる魚を表現し、木管楽器が(オリヴィエ・メシアン的)鳥を描いているように感じられた。その自然の対話、音のシャワーがすごく気持ちよかった!

20世紀ロシアの作曲家グリエールのソロを担当したのはベルリン・フィル首席ホルン奏者シュテファン・ドール。朗々としたffから囁くようなppまでウットリするような美音で、歌心に溢れた演奏。グリエールの曲も濃密なロマンティシズムを湛え、陶酔した。

ソリストのアンコールは、

  • メシアン/「渓谷から星たちへ」より恒星の呼び声

休憩を挟み、いよいよ幻想交響曲である。山田さんは暗譜で指揮。

第1楽章「夢、情熱」の序奏(導入)部は遅めのテンポでたっぷり濃厚な表現。音楽の彫りが深い。主部に入ると主旋律を奏でる第1ヴァイオリンが激しく動く。アクセントが強調され、低弦が鋭くリズムを刻む。

第2楽章「舞踏会」は絹のように滑らかで、流麗。ファンタジーに満ちている。

第3楽章「野の風景」は突き刺さる孤独。

第4楽章「断頭台への行進」は抗えぬ激情を表現。パンチが効いている。

第5楽章「魔女の夜宴の夢」は不気味な雰囲気が巧みに醸し出される。僕はこの演奏を聴きながら「魔法少女まどか☆マギカ」に登場する”ワルプルギスの夜”(=最後の審判)のことを想い出した。

そして最後のクライマックスは凄まじい推進力で破壊的。魔女たちが狂って狂って踊りまくる情景が目の前にパーッと広がった。

山田和樹、恐るべし。僕はハーディングやドゥダメルに対抗し得る桁外れの才能が日本で育っていたことを誇りに想い、そして音楽の神様に心から感謝する。

なお、面白いなと感じたのは第1楽章の提示部と第4楽章で楽譜に指定されている繰り返しが省略されたことである。これはカラヤン時代は当たり前のことだったが、アバド・ムーティ世代以降は愚直に繰り返し記号が敢行されることが通例となった(大植英次さんが大フィル定期で「幻想交響曲」を振った際も繰り返しはあった)。このあたり、山田さんがどういう考え(信念)で繰り返しをしないのか、一度訊いてみたいものである。

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