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究極(9曲)のベートーヴェン!!/大植英次プロデュース「大阪クラシック 2012」

9月5日(水)、大阪クラシック4日目。ザ・シンフォニーホールへ。

Osaka

第52公演は大植英次/大阪フィルハーモニー交響楽団で「究極(9曲)のベートーヴェン!!」と題されている。ベートーヴェンの交響曲全曲(1-9番)の第1楽章を一挙に演奏するという、前代未聞(おそらく世界初)の企画。休憩20分を含み、丁度2時間のコンサートだった。会場はびっしり満席。

弦は対向配置。コントラバスは舞台下手(第1ヴァイオリン側)後方に陣取った。提示部の繰り返しは一切なし。

第1番は切れと弾力があり、流れるような演奏。

第2番はスキップするように軽やか。

第3番「英雄」はテンポが速い!疾風怒濤。

第4番の序奏は透明感があった。提示部に入ると音楽は羽根のように中を舞い、清々しい印象。

そして嵐のように激しい第5番で前半は終了。

休憩の間、楽員が舞台裏に引っ込んでも大植さんはステージ上で喋り続ける。

交響曲 第3番「英雄」は「エロイカ」と呼ばれているが、これは女性形であり間違い。男性形は「エロイコ」だそう。

従来、交響曲 第5番のレコードは1913年ニキシュ/ベルリン・フィルの録音に始まるとされてきたが、実は1910年に全曲録音がなされていたことが最近になって判明した。指揮者は表記なし。オーケストラはGrosses Odeon Streich Orchester(大オデオン洋絃楽団)。これはベルリン国立歌劇場管弦楽団のメンバーと考えられる。

また、今まで出版されていたスコアで運命の動機「ダダダダーン」の最後の音(ダーン)は1回目よりも2回目の方が長く演奏されるよう指示されている。→冒頭部譜例へ

ところがベートーヴェンの自筆譜を見ると、どちらも二分音符のフェルマータで長さは同じだった。→写真へ

つまり作曲家の死後、誰かが書き換えていたことが分かり、今回は自筆譜通りに演奏したとのことだった。

さて後半。第6番「田園」はほっこり、柔らか。自然にわく感興が心地いい。

第7番になるとさすがに大植さんがバテてきたのか、些か音楽の勢い(スピード感)が失われた気がした。この曲に関しては明らかに2年前に聴いた演奏の方が良かった。

まぁ朝から大植さんは各会場を飛び廻り、ピアノ演奏も披露された訳で、疲労が溜まっていても当たり前。ご愛嬌でしょう。

アンコールは打楽器やピッコロ、コントラファゴット、トロンボーン奏者が登場し、第9番「合唱付き」第4楽章 終結部Prestissimo(約15秒)の熱い演奏で大いに盛り上がった。

僕は2007年にこのホールで同コンビによるベートーヴェン・チクルス全曲を聴いたが、あの時は大植さんの持病である首の状態が最悪で、鈍重で「死に体」のベートーヴェンだった。大植さんも辛かったろうが、聴いてる方も辛かった。

しかし今は病も癒え、水を得た魚。生き生きしたベートーヴェンに魅了された。

変わったのは大植さんだけではない。大フィルもまた、厚化粧だった5年前と比べ進化、バージョン・アップした。ヴィブラートはより控えめに、各フレーズごと弓はより早めにスッと弦から離される(水捌けがいい)。つまり奏法がより古楽的になったのである。これは延原武春さんと続けてきた、ウィーン古典派シリーズ@いずみホールでピリオド・アプローチに真剣に取り組んできた成果なのだろう。

「大阪クラシック」というお祭りに相応しい、中身が充実した愉しい一時だった。

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