桂文我・林家正雀/玉造・猫間川寄席
7月29日、さんくすホール@玉造へ。
- 桂まん我/豆炭
- 桂 文我/渋酒
- 林家正雀/「怪談牡丹燈籠」より”お札はがし”
- 正雀・文我/東西対談
- 正雀/おどり「彦六の奴さん」
- 桂 文我/はらわた餅
まん我さんは、師匠が高座に掛けないけったいな噺。「あのネタだけは演る気にならんですなぁ」と文我さん。マクラで、羊はアホでオウム科は視力がよく賢い、と動物園飼育係の談話を紹介。しかし一番不思議なのは人間だと。ほんと、そうだね。
文我さんは枝雀師匠について大いに語られた。生前、立川談志さんが「枝雀は俺を避けている」と文我さんにぼやいていたこと。また、あるパーティで談志さんが枝雀さんに近づいてきて「落語の不条理について語りませんか?」と声を掛けたところ、枝雀さんは「わたし理屈は嫌いですねん」と逃げ出したエピソード。
国際免許証を取った枝雀さんは落語会で弘前から鉢のに移動する際、レンタカーを運転しながら「十和田湖に寄ろう」と突然言い出し、助手席に座った文我(当時:雀司)さんは生きた心地がしなかったこと。
東京で枝雀独演会があったとき、打ち上げで新橋の駒忠(こまちゅう)で呑んでいると、「面白くねぇ」と独り言をいう酔っ払いが隣に座り、文我さんをじっと見据えて「おめぇ、突拍子もねぇ顔をしているな!」と絡まれた。枝雀さんは離れたところでそれを眺めながらゲラゲラ笑っていたそう。また真夏に師匠の言付で梅田の阪神百貨店まで凍結酒「福寿」を買いに行ったが、帰宅すると完全に溶けてしまっていた想い出など。
東京から年一回のゲスト・正雀さんの師匠・林家彦六(八代目・正蔵)は台湾で買った山猫様を自宅に祭っており、毎朝牛めしをお供えしてお焚き上げをしていたそう。ある日、その山猫様がゴミ箱に入っているのを見た正雀さんが驚いて報告すると「ねずみに齧られたから捨てた」と。まるで落語みたい。また彦六師匠の健康法は毎日水を七合飲むことだったとか。
ご本人は醤油番茶(大さじ一杯のしょうゆにほうじ茶を注ぐ)を飲むのが好きだという話も。
正雀さんは姿勢が良く凛とした高座。無表情なのが怖い。これが怪談を演じる極意なのかと唸った。
トリの「はらわた餅」は江戸落語「黄金餅」を上方に移植したもの。
終わってみると3時間半におよぶ長丁場だったが、おふたりの師匠の逸話がたっぷり聴けて、退屈しなかった。
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