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2012年8月20日 (月)

選定!小学生/中学生に観せたいアニメ

この記事を書く契機となったのは日テレで放送された「ジブリの本棚~宮崎駿が選ぶ子供たちに読ませたい本50冊」という番組である。これはDVD,Blu-rayでも発売されている。それじゃ、アニメーション版を僕がやろうじゃないかという企画だ。

まずは宮崎駿さんが関与した(監督作、および原画・レイアウトのみ担当した)ものから小学生向きの作品を。「太陽の王子ホルスの大冒険」「長靴をはいた猫」「パンダコパンダ」 「アルプスの少女ハイジ」「赤毛のアン」「未来少年コナン」「ルパン三世カリオストロの城」「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「崖の上のポニョ」。「パンダコパンダ」には後のラピュタ、トトロ、ポニョの原型を認めることが出来る。

またイタリア放送協会(RAI)と東京ムービー新社の合作「名探偵ホームズ」で宮さんが演出したのが第3話「小さなマーサの大事件!?」、第4話「ミセス・ハドソン人質事件」、第5話「青い紅玉(ルビー)」、第9話「海底の財宝」、第10話「ドーバー海峡の大空中戦!」。うち2作品は劇場版でも観ることが出来る(Blu-rayで発売中)。登場人物は全て犬。いずれもクオリティが高い。

テレビ「ルバン三世」第2シリーズで宮さんが手掛けた第145話「死の翼アルバトロス」と第155話(最終回)「さらば愛しきルパンよ」もお見逃しなく。ラピュタのロボット兵(ラムダ)が登場する。

ディズニー映画なら「白雪姫」「ピノキオ」「バンビ」「ファンタジア」「ダンボ」「不思議の国のアリス」「リトル・マーメイド」「美女と野獣」「アラジン」「ノートルダムの鐘」「ライオンキング」「ファンタジア2000」「プリンセスと魔法のキス」を。「ライオンキング」の起源は手塚治虫の「ジャングル大帝」である事実をちゃんと子供たちに伝えることもお忘れなく。

またディズニーの短編作品より、アカデミー賞(短編アニメーション部門)を受賞した「三匹の子ぶた」「うさぎとかめ」「三匹の親なし子ねこ」「風車小屋のシンフォニー」「みにくいアヒルの子」などを挙げておく。

スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮からは「アメリカ物語」。主人公はロシア移民のネズミ。スピルバーグの祖父の想い出を託している。ジェームズ・ホーナー作曲の主題歌"Somewhere Over There"が素晴らしい。

ピクサー映画は第一作「トイ・ストーリー」以降の全て。ここのCGアニメはハズレなし。同ジャンルにおいて未だにTHE ONE AND ONLYと言えるだろう。ピクサーの作品はみなBuddy films(バディ・ムービー)だ。つまり「仲間が一番」ということ。子供たちはこれらを通して協調性を学ぶだろう。

手塚治虫が製作した短編アニメ「人魚」「ジャンピング」「おんぼろフィルム」はいいね。手塚原作で大友克洋脚本、りんたろう監督の「メトロポリス」も上出来。

文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞などを受賞した「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦」。「オトナ帝国」はむしろ、大人が泣くかも。1970年代へのノスタルジー。

毎日映画コンクール・大藤信郎賞を受賞した杉井ギザブロー監督「銀河鉄道の夜」は登場人物たちが擬人化された猫として描かれている。子供たちにとって親しみやすいだろう。同じ宮沢賢治原作として、それほど好きじゃないけれど高畑勲監督「セロ弾きのゴーシュ」も挙げておく。

ウォレスとグルミット」(イギリス)はクレイ(粘土)アニメ。「チーズホリデー」「ペンギンに気をつけろ!」「ウォレスとグルミット 危機一髪!」など。アカデミー賞短編アニメ部門受賞。長編もあるが、そちらはイマイチ。スピンオフ「ひつじのショーン」もお勧め。

伝統的ストップモーション・アニメーションの手法を採用した「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」はミュージカル仕立てで、ダニー・エルフマンの曲も大好き。ダークな味わい。

スティーヴン・スピルバーグが監督した「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密」はモーションキャプチャーの手法を用いたアニメーション。インディー・ジョーンズを彷彿とさせる冒険活劇だ。音楽がジョン・ウィリアムズというのも贅沢だね。

《高学年》サウス・パーク映画無修正版」もミュージカル。ブラックなパロディ満載。「ブレイム・カナダ」(カナダのせいにしろ!)がアカデミー歌曲賞にノミネート。テレビ・シリーズも併せてどうぞ。これを製作したトレイ・パーカーとマット・ストーンは後にブロードウェイに進出し、「ブック・オブ・モルモン」がトニー賞でミュージカル作品賞を含む9部門を独占した。

《高学年》押井守監督「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」「機動警察パトレイバー the movie 1・2」は掛け値なしの傑作。

次に短編で、面白いと言うよりはアーティスティックな作品をご紹介しよう。

《高学年》アレクサンドル・ペドロフ(ロシア)「老人と海」はガラス板に絵を描く手法。アカデミー賞短編アニメ部門受賞。

《高学年》フレデリック・バック(カナダ)「木を植えた男」「大いなる河の流れ」アカデミー賞短編アニメ部門受賞。バックは上映時間30分の「木を植えた男」を5年半、24分の「大いなる河の流れ」も6年の歳月を費やして完成させた。一級の芸術作品である。

《高学年》ユーリ・ノルシュテイン(ロシア)「あおさぎと鶴」「霧につつまれたハリネズミ」「話の話」は切り絵を使ったアニメーション。

次に中学生向けをご紹介しよう。

宮崎駿さんが関与したものから「魔女の宅急便」「紅の豚」「耳をすませば」「ハウルの動く城」「借りぐらしのアリエッティ」「コクリコ坂から」。

押井守監督の「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」とその続編「イノセンス」。「マトリックス」にも多大な影響を与え、世界中に沢山のファンを持つカルト作品。

そしてこれは外せない、泣く子も黙る「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズ。

細田守監督の「時をかける少女」「サマー・ウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪

女の子には「魔法少女まどか☆マギカ」。これにはおったまげた!究極の傑作。作品の奥深さを理解するには中学生にも無理かも(と挑発しておく)。

最後に、宮崎駿さんが原画などスタッフとして参加し、名作の誉れ高い「空飛ぶゆうれい船」(1969,東映動画)と「どうぶつ宝島」(1971,東映動画)は残念ながら未見につき、リストに入っていないことをお断りしておく。

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コメント

こんにちは!記事大変楽しく読ませて頂きました。挙げられたアニメを実際に子どもの頃見て育ったもので…。
「ナウシカ」や「もののけ姫」を見て、親と自然との共生について話し合ったりもしました。よい教材にもなりますね。

「クレヨンしんちゃん」の挙げられた二作は群を抜いた出来ですが、子どもの頃観て強烈に印象に残っているのは「ヘンダーランド」「雲黒斎の野望」です。あの悪夢でも見ているような摩訶不思議な世界観がすばらしいです。
あとはドラえもんの映画も子どもに見てほしいなあと思っています。
新ドラえもんの映画は駄作も多いですが「のび太の恐竜」「のび太と鉄人兵団」リメイクはすばらしい出来でした!

新旧問わずすばらしいアニメ作品にまっさらな心で出会える子ども達がうらやましいです。

投稿: mai | 2012年8月21日 (火) 19時31分

maiさん、コメント&お勧めのアニメをありがとうございます!読者の方がこうして、僕の書いた記事を補完して下さるのは嬉しいことです。

追伸:失念していたディズニーの「プリンセスと魔法のキス」および、「ピクサー・アニメ=バディ・ムービー」論を本文に追加しました。

投稿: 雅哉 | 2012年8月22日 (水) 23時23分

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