ゲルハルト・ヴァインベルガー初来日/バッハ・オルガン作品全曲演奏会 1
8月3日いずみホールへ。
これから7年間に渡り、計14回でJ.S.バッハのオルガン作品を全曲演奏してゆく壮大なプロジェクトが発進した。バッハ・アルヒーフ・ライプツィヒ所長クリストフ・ヴォルフが推薦するオルガニストが次々に来日する。その第1弾となる今回は初来日となるゲルハルト・ヴァインベルガーが登場。ドイツ・バイエルン生まれ。1996-2008年にかけJ.S.バッハのオルガン全作品を22枚のCDに録音し、ドイツ・レコード評論家大賞を受賞している。
満席。いずみホール音楽ディレクターの磯山 雅さんによると、滅多にないことだが大入り袋(100円)が出たそう。またBACHというそれぞれの文字がアルファベットの何番目かを足していくと、B(2)+A(1)+C(3)+H(8)=14になるとのこと。つまり14はバッハの数字というわけ。
- トッカータとフーガ「ドリア調」 BWV538
- オルガン小曲集より受難のコラール
”おお神の小羊よ、罪なくして” BWV618
”キリストよ、汝神の小羊” BWV619
”われらを幸せにするキリストは” BWV620
”イエスが十字架に付けられた時” BWV621
”おお人よ、お前の大きな罪を泣け” BWV622
”主イエス・キリストよ、われら汝に感謝す” BWV623
”神よ、われを助けてなさせたまえ” BWV624 - 小フーガ ト短調 BWV578
- 協奏曲 ト長調 BWV592
- ”われらの救い主なるイエス・キリストは” BWV665,666
- ”イエスよ、わが喜び” BWV713
- ”汝の御座の前にわれはいま進み出で” BWV668
- プレリュードとフーガ ニ長調 BWV532
- カンタータ第156番”片足は墓穴にありてわれは立つ”より
シンフォニア BWV156 (アンコール)
高い尖塔のイメージを喚起する演奏。オルガンは多彩な音色を奏で、壮大なシンフォニーを構築する。毅然とそびえる山。偉大な神を前にして、我々は無力な存在でしかない。ただ跪き、頭を垂れるのみ。降り注ぐ音のシャワーを全身に浴び、魂が洗われるような体験であった。
「ドリア調」は斬新で、コラールは朴訥で無垢な祈り。小フーガは凛と立つ。
後半の協奏曲は歓びに満ち、祝祭的雰囲気。終曲のプレリュードとフーガ ニ長調は輝かしく、有無を言わせぬ説得力がある。心地よい響きに身を委ねながら、僕はクリスチャンではないけれど、教会の天窓から目映い光が差し込む光景をそこに幻視した。
アンコールの曲は後にバッハ自身の編曲によりチェンバロ協奏曲第5番 第2楽章 ラルゴに生まれ変わり、グレン・グールドのピアノ演奏で映画「スローターハウス5」(ジョージ・ロイ・ヒル監督)に使用された。その映像を思い浮かべながら、愉しいひと時を過ごした。
次回は2013年3月20日(祝)。スイス在住の小糸 恵が登場する。
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