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佐渡裕 プロデュースオペラ「トスカ」

兵庫県立芸術文化センターへ。

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佐渡裕/兵庫芸術文化センター管弦楽団プッチーニ/歌劇「トスカ」を観劇。オーケストラ奏者のスペシャル・ゲストとしてトリノ王立歌劇場管弦楽団コンサートマスター、ステファーノ・ヴァニャレッリや元ウィーン・フィル首席クラリネット奏者ペーター・シュミードルらが招聘された。

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演出はイタリアの名指揮者クラウディオ・アバドの息子、ダニエレ・アバド。装置・衣装がルイジ・ペレゴでスタッフはイタリア勢で固められた。しかし考えてみればクラウディオ・アバド自身はプッチーニを振らないのに(専らロッシーニやヴェルディばかり)、息子が「トスカ」を演出するというのも面白いな。

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トスカ役のスヴェトラ・ヴァシレヴァはスタイルがよくワイルドな感じ。カルメンとか似合いそう。ただ、もっとトスカの嫉妬心など激しい表現力が欲しいと想った。歌唱は及第点だが、些か物足りなかったのも確か。

カヴァラドッシ役のティアゴ・アランカムはイケメン。張りがある甘い声で良かった。

白眉だったのがスカルピア役のグリア・グリムズレイ。背が高く背筋が伸び、渋くて格好いい。なにより声量豊かで威圧される。悪の魅力を放散。痺れたね。僕にとってスカルピアと言えばマリア・カラスと共演したティト・ゴッピに尽きるのだが、それに匹敵するくらいの存在感があった。

アンジェロッティ役のキュウ・ウォン・ハンも悪くなかった。

舞台装置は白い大理石の柱が並ぶシンプルなもの。スカルピアとその部下が黒ずくめの衣装で中には黒の革ジャンを着ている手下もあり、これはナチス・ドイツ(あるいはイタリア・ファシスト党の黒シャツ隊)への読み替えだなと気が付いた。第1幕最後にスカルピアが「行け、トスカ(Va, Tosca)」を歌いながらお立ち台に上がって行き、同時に舞台がゆっくりと回転していく場面はカタルシスを感じた!

また第2幕は全てが”SMシーン”だったんだなということを、この演出で初めて理解出来た。スカルピアはカヴァラドッシを拷問にかけ、苦しむトスカを見てどんどん性的に興奮していく。こいつは正真正銘のサディストだ!舞台後方に凸凹の鏡が配置されているのがとても効果的だった。そこに映し出される歪んだ世界。紫の照明もSMチック。

第3幕の序奏でサンタンジェロ城の白黒映像が背後のスクリーンに浮かび上がる。歌が入ると映像は消え青空が広がり、時間経過と共に次第に燈色に変化してゆく。朝焼けが巧みに表現されている。美しい幕切れだった。

この充実したプロダクションがA席(S席なし)12,000円という破格の安さで観れるなんて最高!佐渡さん、ありがとう。

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