いずみシンフォニエッタ大阪「近代フランス魅惑の響き」
7月14日(土)いずみホールへ。
飯森範親/いずみシンフォニエッタ大阪で、
- フランセ/セレナード(フランセ生誕100年)
- 酒井建治/Danse Macabre ~27人の奏者のための(委嘱新作)
- ドビュッシー/神聖な舞曲と世俗的な舞曲(ドビュッシー生誕150年)
ハープ:内田奈織 - プーランク/オルガン、ティンパニと弦楽のための協奏曲
オルガン:土橋薫、ティンパニ:山本毅
また開演前にトランペット:菊本和昭、オルガン:土橋薫でプレ・コンサートもあった。
- シャンパルティエ/テ・デウムよりプレリュード
- サン=サーンス/プレリュード op.99-3 (ハープ独奏)
- トマジ/クスコの聖週間
現代の作曲家トマジは短いながらトランペットがストレートミュートstraight muteやカップミュートcup muteを使い分ける面白い曲。プチ悪魔的雰囲気があった。菊本さんは最近、京都市交響楽団からNHK交響楽団に移籍。名手の妙技を堪能した。
フランセはお洒落な曲調で大好きな作曲家。セレナードの第2楽章はバスーンが超高音を奏でびっくりした!アルト・サックスの音色に近い。第3楽章は軽やかなピチカートが可愛い。第4楽章はウィットに富むワルツ。軽妙洒脱で愉しい!
酒井建治さんは1977年大阪生まれ。現在はパリで活躍し、エリザベート王妃国際コンクール作曲部門2011グランプリ受賞。世界初演となる新作はサン=サーンスの「死の舞踏」に触発されたもの。オリジナルがペストがもたらした多数の死者による内容なら、酒井作品は福島原発事故で飛散した放射性物質をペストに見立てている。通常ヴァイオリンの4弦は下からソレラミだが、「死の舞踏」同様、最高音ミを半音下げた調弦(スコルダトゥーラ)となっている。トランペット、トロンボーン、クラリネット、マリンバ奏者が2階サイドのバルコニーに配され、オーボエ奏者が1階客席真後ろで鶏の鳴き声を発する。曲の最後はアダージョとなり、大震災で亡くなった方々への弔意を表す。確かに思いつきは面白いが、やはり所詮フランスから眺めた客観的視線なので「よそ事」という感じ。切実さがなく、なんだか白々しかった。同じ「震災音楽」なら、いずみシンフォニエッタ大阪が初演した新実徳英さんの室内協奏曲 第2番の方を僕は断然支持する。
ドビュッシーは滅多に聴けない曲で嬉しかった。「神聖な舞曲」は高貴で中世の世界へと誘われる。「世俗的な舞曲」は優雅なワルツで幻想的。うっとり心酔した。
プーランクはいずみホールが誇るオルガンの効果が最大限に発揮された。プーランクといえばフランセ同様にお洒落な曲調というイメージだが、本作はカトリック信仰が重要な位置を占め、15世紀の修道院に向かう作曲家の姿が映し出されている。多彩な音色に魅了された。
新作はハズレだったが、全体としては満足度の高い演奏会であった。
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