旭堂南湖/第1回「イルミタイ(化け猫)講談会」そして、入江たか子さんのこと。
日本を代表する「化け猫女優」をご存知だろうか?入江たか子さん(1911-1995)のことである。
華族出身の映画スターで溝口健二監督作品などにも出演した。晩年は娘の若葉さんと一緒に、大林宣彦監督「時をかける少女」「廃市」「麗猫伝説」などに登場。大林監督の「HOUSE ハウス」と「麗猫伝説」は往年の「化け猫映画」へのオマージュである。「麗猫伝説」にはたか子さん主演映画「怪猫有馬御殿」(1953年、大映、上映時間49分)も引用されている。
怪談に化け猫は付きもの。例えば古典落語 「猫の忠信」や「仔猫」にも登場する。欧米でもエドガー・アラン・ポーの短編小説「黒猫」を筆頭に、猫は不吉なものとされている。しかし面白いことに「化け犬」って聞いたことがない。「ワン、ワン」吼えると、神秘的じゃなくなるからだろう。「桃太郎」などで分かるとおり、犬は忠実な僕(しもべ)。人を裏切らない。一方、猫は気ままで得体が知れず、ミステリアスな存在である。
5月30日、妖精・妖怪カフェillumitai(イルミタイ)へ。
旭堂南湖さんによる「妖怪・化け猫 講談」を聴く(第1夜)。
前説で妖怪研究家・亀井澄夫さんによる解説あり。やはり入江たか子さんの話題が上り、「怪猫有馬御殿」のポスターも見せて下さった。
大阪には土地柄か妖怪の物語が極めて少ないそう。逆に江戸は猫を飼う習慣があったからか化け猫の怪談が多い。特に江戸時代に集中しているという。「日本三大怪猫伝」というのがあり、久留米藩主の有馬氏、佐賀・鍋島藩(講談「佐賀の夜桜」)、そして三州・岡崎藩の化け猫騒動のことを指す。
南湖さんによると江戸時代末期から明治にかけて活躍した桃川如燕(ももかわじょえん)という講釈師がいて、「百猫伝」を得意としたそう。この如燕は明治天皇の前で天覧講談をしたことがあり、「(「牡丹燈籠」「真景累ヶ淵」の作者として名高い)三遊亭円朝は天覧落語をしたことがありませんから、当時は落語家よりも講釈師の方が偉かったんです」と。どうやら講釈師によって化け猫怪談が日本全国に広まったようだ。
その「百猫伝」から今回は講談「有馬猫騒動(有馬猫退治)」。いいところで終わったので、続きが気になる!
次回は6月13日(水)に予定されている。第3回は7月18日(水)。
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