宝塚月組 フレンチ・ミュージカル「ロミオとジュリエット」(明日海りお 主演)
宝塚大劇場へ。
「ロミオとジュリエット」は僕が大好きなフランス産ミュージカルで、今まで4つの異なるキャスティングで観ている。
僕は古今東西、この世には三つの完璧なミュージカルがあると想っている。その一つがロンドンの「オペラ座の怪人」であり、さらにウィーンの「エリザベート」、そしてこの「ロミオとジュリエット」が続く。
今回の月組公演はロミオとティボルトが役代わり。僕が観た配役はロミオ:明日海りお、ティボルト:龍真咲、ジュリエット:愛希れいかだった。
本来は龍真咲さんのトップ就任お披露目なのに、二番手と役代わりというのは実に気の毒だ。これは前代未聞の事態であり、非情な仕打ちに彼女のファンが激怒するのも無理はない。ただ、声が低い彼女にロミオは似合わない気がする。「白の正統派」より「色がついた役」(例えば「スカーレット・ピンパーネル」の悪役ショーブラン)の方が相応しいんだよね。
だから僕は躊躇なくこちらの配役を選んだが、それは大正解だった。
明日海さんのロミオはもう、そこに立っているだけで絵になる。ため息が出るような美しさ。まさに白馬の騎士・王子様である。伸びる高音、歌唱も申し分ない。歌劇団が無理矢理、彼女のロミオをねじ込んだ意味がよく理解出来る。
愛希れいかという娘役は全然知らなかったが、凄い美人。ダンスも上手い。漸く理想的なロミオ&ジュリエットにめぐり逢えた!その感動に足が震える想いがした。
乳母役の美穂圭子、ロレンス神父役の英真なおきらも好演。台詞のない「愛」を演じる煌月爽矢の踊りも素晴らしかった。
ただマキューシオ役の美弥るりかは背が低くて見栄えがしないし、音痴でいただけない。今回唯一のミス・キャスト。しかしそんな瑕はこの見事なプロダクションの中において些事に過ぎない。
宝塚歌劇団のエース・小池修一郎の演出は前から大好きなのだが、キャピュレット家(赤い衣装)とモンタギュー家(青い衣装)の対立を太陽と月に喩え、そこに寄り添うように愛と死のダンサーを配置。ロミオとジュリエットの死によって両家は和解し、同時に愛と死が融合する幕切れは何度観ても恍惚感に酔いしれる。必見!
お次は今秋、本場フランス招聘版を観劇予定。公式サイトはこちら!
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コメント
私もこの組み合わせが良いだろうと思ってましたが、せっかくなので両方観ました。良い意味で龍ロミオには裏切られ、もう一度観るなら龍さんロミオと思っています。龍さんはビジュアル的にも目のキラキラした生き生きしたロミオでしたが、『僕は怖い』の歌唱など、全体的に明日海さんと違う解釈で演技にリアリティがあり、私は初めてロミオに共感できたような気がします。機会があれば違うバージョンも是非ご覧になってください。意外な発見があるかもしれませんよ。
投稿: ふろりな | 2012年7月16日 (月) 14時26分
ふろりなさん、コメントありがとうございます。
多分DVDは龍ロミオで発売されると思われますので、購入を検討します。役替わり公演は特典映像扱いではなく、別々に出ればありがたいのですが。
投稿: 雅哉 | 2012年7月16日 (月) 19時23分
私が、見に行ったときのロミオは龍さんでしたが、明日海さんのロミオもいいと聞きましたので、今度機会があったら見に行こうと思います。
DVDが龍さんのロミオバージョンと、明日海さんのロミオバージョンと別々に出たらどちらを購入されますか。
私は、結構なやみますね~。
投稿: ちー | 2012年7月26日 (木) 09時41分
ちーさん、コメントありがとうございます。
DVDの概要が発表されました。龍ロミオのみ収録された記念盤6,980円とそれに明日海ロミオのハイライトを収めた通常版が10,500円。これは悩みますね!将来、明日海さんがトップになった暁には明日海ロミオ版も出るかも。う〜ん……。
投稿: 雅哉 | 2012年7月26日 (木) 21時45分