桂九雀×小佐田定雄/落語の定九日(6/9)
雀のおやどへ。
落語作家・小佐田定雄さんの作品を桂九雀さんが演じる会。二人による対談もあり。
- 桂九雀/弓流し(小佐田 作)
- 桂九雀/淀の鯉(中川清【桂米朝】作・正岡容 加筆・小佐田 補綴)
- 鈴々舎八ゑ馬/天狗裁き
- 桂九雀/慶応三年(正岡容 作)
- 桂九雀/雨乞い源兵衛(小佐田 作)
「弓流し」は大阪能楽会館で上演された能「屋島」の前座・解説用に、九雀さんの依頼で書かれたたもの。昔は「間狂言(あいきょうげん)」がその役割を担っていたそう。小佐田さんは神、鬼、亡霊など現実世界を超えた存在が主人公(シテ)となる「夢幻能」のことにも触れられた。九雀さんの口演はポンポンと言葉が出てきてリズミカル。
八ゑ馬さんはR-1に出場されたときの短いネタをマクラで披露。「天狗裁き」はフツーで、面白みに欠けた。
「淀の鯉」は桂米朝さんが先代・米團治に入門し落語家になる前、作家で寄席演芸研究家・正岡容(まさおかいるる)の門弟”中川清”として執筆したもの。ラジオ放送用らしく、最近米朝宅の引き出しの中から発見されたそう。これは息子の現・米團治さんと、桂吉坊さんも手掛ける予定らしく、それぞれ細かいところは違っているという(米團治さんは原本のまま口演されるとか)。太鼓持ち(幇間)の”一八”や板場(料理人)が登場。ハメモノ(お囃子)がふんだんに取り入れられ、賑やかで愉しい。完成度の高い米朝作「一文笛」と比べると、些か詰め込み過ぎ、未整理の感はあるが十分聴き応えあり。
慶応三年とは1867年で、竜馬暗殺や大政奉還のあった年。今村昌平 監督の映画にもなった「ええじゃないか」運動を題材にしている。70年前の作品とは信じられないようなシュールで奇想天外な噺。「奇人ですな」と小佐田さん。レアな一品。大満足。
「雨乞い源兵衛」は故・桂枝雀(九雀さんの師匠)が得意としたネタで、小佐田作品のうち枝雀さんの口演回数が多かったのは1.貧乏神、2.雨乞い源兵衛、3.茶漬えんまだったそう。このネタを演じる弟子は雀々さんとむ雀さんくらいだったが、九雀さんも昨年から取り組み始めたと。
興味深い話も色々伺い、行って良かった会でした。
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