~大栗 裕よ永遠に~ フィルハーモニック・ウィンズ大阪 定期
4月30日いずみホールへ。
フィルハーモニック・ウィンズ大阪(通称:オオサカン)の定期演奏会。大阪では大阪市音楽団に続く、プロの吹奏楽団(NPO法人)である。ちなみに関西フィルハーモニー管弦楽団も特定非営利活動法人(NPO)である。
今回は没後30周年にあたる作曲家・大栗 裕(1918-191982)の特集。
- 吹奏楽のための小狂詩曲
- 巫女の詠えるうた
- 大阪俗謡による幻想曲
- 交響的断章「序奏と舞」(木村吉宏 編曲)
- 吹奏楽のための交響詩「日本のあゆみ」
- 中村八大/世界の国からこんにちは(EXPO'70テーマソング)
アンコール
元・大阪市音楽団の団長(兼)常任指揮者で、生前の大栗とも親交があった木村吉宏さんがタクトを取られた。木村さんは大阪音楽大学でクラリネットを専攻されている。
オオサカンを聴くのは初めて。面白いなと思ったのはコンサートミストレスがクラリネット奏者だったこと。というのは大阪市音楽団やシエナ・ウインド・オーケストラ、東京佼成ウインドオーケストラなど他のプロ吹奏楽団はみなサクソフォン奏者がコンサートマスターなのである。オーケストラのコンマスは第1ヴァイオリン奏者と相場が決まっているが、吹奏楽の場合は特にないみたい。
オオサカンの実力は世界でもトップクラスの大阪市音楽団(市音)にはさすがに及ばないが、少なくともトランペットやホルンは大阪フィルハーモニー交響楽団より明らかに上手い。京都市交響楽団レベルくらいかな。大したものだ。
「吹奏楽のための小狂詩曲」は1966年全日本吹奏楽コンクール課題曲。
「巫女の詠えるうた」はジャズのビートでリズミカル。冒頭の呪術的な部分と中間部の日本的叙情の対比が鮮やか。
「大阪俗謡による幻想曲」は吹奏楽コンクール用に短縮された淀工版ではなく、全曲版(演奏時間約12分)。ホルンが吼えて気持ちがいい!木村さんの指揮ぶりは決して荒っぽくならず始終冷静で、その棒から紡ぎ出されるサウンドには透明感がある。
「序奏と舞」は1957年に朝比奈隆の指揮でフランクフルトとブリュッセルで演奏されたオーケストラ曲を木村さんがアレンジ。能楽「羽衣」に基づくもので、鼓を打つなどお囃子による合いの手を西洋の楽器で再現しようという試みが興味深い。
「日本のあゆみ」はナレーション付き。ペリーの黒船来航(大砲の音)から始まり、明治維新の官軍の歌(トンヤレ節)がリコーダー演奏で登場、さらに日露戦争の軍歌「戦友」、第一次世界大戦後の流行歌「船頭小唄」「丘を越えて」「酋長の娘」「二人は若い」等の引用を経て進軍ラッパを吹き鳴らす第二次世界大戦へ突入。戦後の焼け跡に「りんごの歌」が流れ、やがて東京オリンピックのファンファーレへ。日本人が明るい未来を信じることが出来た時代。輝かしい金管の音が力強い説得力を持ってホールに響き渡った。
演奏も良かったし、珍しい大栗の楽曲が聴けて嬉しかった。
このは
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