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2012年5月30日 (水)

ミッドナイト・イン・パリ

評価:B+

Mid

アカデミー賞でオリジナル脚本賞を受賞。他に作品賞、監督賞、美術賞の計4部門にノミネートされた。映画公式サイトはこちら

ウディ・アレン脚本・監督作品にはひとつの原則がある。それはアレンが出演しない映画に傑作が多いこと。「カイロの紫のバラ」「マッチポイント」「それでも恋するバルセロナ」などが該当する。「ミッドナイト・イン・パリ」もまた然り。

ニューヨーク派で知られるアレンだが2005年以降はロンドン3部作「マッチポイント」「タロットカード殺人事件」「ウディ・アレンの夢と犯罪」を製作し、スペインの「それでも恋するバルセロナ」を経て今回はフランス。近年はヨーロッパで撮り続けている。次回作は「恋のロンドン狂想曲」だそうだ。

アレンは女優を魅力的に撮ることに長けた映画作家だ。「アニーホール」でアカデミー主演女優賞を受賞したダイアン・キートン、「カイロの紫のバラ」のミア・ファロー、「誘惑のアフロディーテ」でアカデミー助演女優賞を受賞したミラ・ソルビーノ、「マッチポイント」のスカーレット・ヨハンソン、「それでも恋するバルセロナ」でアカデミー助演女優賞を受賞したペネロペ・クルスなど枚挙に暇がない。「ミッドナイト・イン・パリ」でもレイチェル・マクアダムスとマリオン・コティヤール(フランス映画「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」でアカデミー主演女優賞受賞)が実に素晴らしい。輝いている。

コティヤールが演じるのはピカソの愛人アドリアナ。以前はモディリアーニの愛人でブラックとも同棲していたという。そしてベル・エポックの時代に憧れている。この設定が粋だね!

現代に生きる主人公(オーエン・ウィルソン)が夜12時の鐘の音と共に彷徨い込む1920年代のパリ。そこではコール・ポーターがピアノを弾き、ジャン・コクトー(詩人、映画監督)、ヘミングウェイスコット・フィッツジェラルドとその妻ゼルダ、ダリルイス・ブニュエル(ダリと組んだ実験映画「アンダルシアの犬」が余りにも有名)、マン・レイ(アメリカの画家、シュルレアリスト)、T.S.エリオット(イギリスの詩人。ミュージカル「キャッツ」の原作者)などが次々に現れる。ちなみにキャシー・ベイツ演じるガートルード・スタインはパリでヘミングウェイに対し「あなたたちはみな、失われた世代なのよ(You are all a lost generation.)」と言ったことで知られている。

映画を観る前にヘミングウェイの「武器よさらば」やフィッツジェラルド作/村上春樹訳の小説「グレート・ギャツビー」「バビロンに帰る」(および村上さんの解説)をあらかじめ読んでおけば、一層愉しめるんじゃないだろうか?映画でヘミングウェイが言う台詞が格好良過ぎて痺れる!コール・ポーターの人となりについては映画「五線譜のラブレター」をお勧めしたい。

魅惑的な、大人のメルヘン。そういう意味で「ミッドナイト・イン・パリ」は「カイロの紫のバラ」に近い作品と言えるだろう。

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