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レ・ヴァン・フランセ(エマニュエル・パユ、ポール・メイエ 他)@いずみホール

4月15日(日)の昼下がり、いずみホールへ(14時開演)。

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レ・ヴァン・フランセの演奏会。メンバーは、

エマニュエル・パユ(ベルリン・フィル首席フルート奏者、スイス生まれ)、フランソワ・ルルー(元バイエルン放送交響楽団首席オーボエ奏者、フランス)、ポール・メイエ(クラリネット、フランス)、ラドヴァン・ヴラトコヴィチ(ホルン、クロアチア)、ジルベール・オダン(パリ・オペラ座管弦楽団首席バソン奏者、フランス)、エリック・ル・サージュ(ピアノ、フランス)という腕利きの錚々たる面々。

  • モーツァルト/ピアノと管楽器のための五重奏
  • ラヴェル/組曲「クープランの墓」(メイソン・ジョーンズ編)
  • ティエリー・ペク/六重奏曲(委嘱作品・日本初演)
  • イベール/木管五重奏のための3つの小品
  • バーバー/夏の音楽
  • プーランク/六重奏曲
  • ルーセル/木管五重奏とピアノのためのディヴェルティスマン(アンコール)

最初のモーツァルトはフルートなし。柔らかい、まろやかな音。ヴィブラートはあくまで控えめで、気品がある(ちなみにクラリネットは基本的にヴィブラートをかけない楽器)。「セ・シ・ボン」(それは素敵だ、すばらしい)というフランス語を想い出した。

続く木管五重奏によるラヴェルはオーボエが雄弁で、フルートの繊細な弱音はゾクゾクするような美しさだった。パユはブレス・コントロールが絶妙。神業と言ってもいい。決して力任せに吹くようなことはなく、音楽の半音階的進行は魔術的魅力を湛えていた。なお、編曲者のメイソン・ジョーンズは往年のフィラデルフィア管弦楽団首席ホルン奏者だそう。

ペクの新作はインドネシアのガムラン、東洋の五音音階から着想を得た面白い曲、エスニックな響きがして、リズムが先鋭化する終盤はストラヴィンスキーの「春の祭典」を髣髴とさせた。終わった瞬間に隣に座っていた男性が「ハルサイみたいだった」と呟いていたので、同様の感想を持った人は多かったんじゃないかな?

ドイツ式(ヘッケル式)ファゴットとフランス式バソンの違いは「のだめカンタービレ」でも話題になった。ファゴットと比較してバソンは音程が取り難く、特に最低音部で太くて大きい音が出しにくい。その扱い辛さのせいでフランス人以外が使用する頻度は低い。しかし味のあるいい音がする。

イベールは第1曲の軽妙洒脱なアレグロが超高速演奏で唖然とした。第2曲アンダンテはしっとりと歌い、そのコントラストが鮮明。第3曲は洗練されていて色彩感豊か。フランス的芳香を堪能した。

バーバーは気だるいアメリカの夏を精妙に描く、理知的な曲。なんとも言えない余韻があって僕は大好きだ。

そしてプログラム最後はプーランクの代表作にして、正にレ・ヴァン・フランセの名刺代わり。子供のように無邪気にはしゃいで、音楽も演奏も文句の付けようがない。時に漂う哀感はイタリアの作曲家ニーノ・ロータ(「ゴッドファーザー」「太陽がいっぱい」「道」)にも通じるものがあり、プーランクとロータの両者がゲイだったことと何か関係はあるのだろうか?などといったことをぼんやり考えながら愉しんだ。村上春樹さんの著書によると、プーランクは生前「私の音楽は、私がホモ・セクシュアルであることを抜きにしては成立しない」と語ったそうだ。

アンコールのルーセルは洒落た曲で、フランスのエスプリを内包している。特に中間部は海を吹き渡る風、異国への憧れを感じた。ちなみにルーセルは若い頃海軍に入隊し、インドシナ近海へ航海し勤務した経験を持つ。

とびきり素敵な午後のひと時だった。彼らがまた来日する時は是非足を運びたいと想う。

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