鈴木雅明/バッハ・コレギウム・ジャパン「マタイ受難曲」 (受難節コンサート 2012)
いずみホールへ。
鈴木雅明/バッハ・コレギウム・ジャパン(以下BCJ)の演奏で、
- J.S.バッハ/マタイ受難曲(全曲)
僕が生演奏で「マタイ受難曲」を聴くのはこれが4回目。うち過去2回もBCJの演奏だった。
「マタイ受難曲」とはどういう曲かについての核心部は既に上記で詳しく語っているので、そちらをお読み頂きたい。
鈴木/BCJの演奏については何度も聴いているので、印象が大きく変わることはなかった。世界最高レベルのクオリティであることは言うまでもない。第1部は軽やかなテンポで開始され、途中激しく劇的になったり、怒りや哀しみ、諦念といったもろもろの感情を余すところなく表現し尽くす。文句の付けようがない。休憩を除き約3時間聴いている間、一瞬たりとも退屈することはなかった。
この人の右に出るものはいないと言われるエヴァンゲリスト:ゲルト・テュルク(テノール)を筆頭に、イエスのピーター・ハーヴェイ(バス)、そしてソプラノ:ハナ・ブラシコヴァのクリスタルな透明感に至るまで、ソリストの素晴らしさも筆舌に尽くしがたい。ただし、クリント・ファン・デア・リンデらカウンターテノール陣はいただけなかった(2008年のダミアン・ギヨンがすごく良かっただけに、惜しまれる)。
弦楽器と管楽器はそれぞれ第 I 群と第 II 群に分かれ、左右対称に配置される。それぞれの群が時には対話するように交互に、またある時は一斉に演奏する様は視覚的にも面白い。やっぱり「マタイ」は生で聴かなくちゃその真の醍醐味は分からないなとつくづく感じた。この曲は紛れもなく人類の至宝、究極の世界音楽遺産である。聴かずに死ねるか!?
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