笑福亭受賞者の会/鶴瓶「紅寄席」
3月6日(火)@繁昌亭
笑福亭鶴二さんが第6回繁昌亭大賞を受賞したのを祝う会。他の出演者も過去に受賞した噺家ばかり。
- 笑福亭たま/鼻ねじ(隣の桜)
第2回 輝き賞/第4回 創作賞受賞 - 笑福亭銀瓶/持参金
第3回 奨励賞/第4回 繁昌亭大賞受賞 - 笑福亭三喬/べかこ
第1回 繁昌亭大賞受賞 - 笑福亭鶴笑/パペット落語「義経千本桜」
第2回 爆笑賞受賞 - 笑福亭鶴二/らくだ
第6回 繁昌亭大賞受賞
満席。たまさんは新作ネタおろしの会「できちゃったらくご!」の客が28人だったことを例に出して本編へ。彼の「鼻ねじ」はもう3回くらい聴いたが、どんどん変わってきている。加速する落語。お見事!
銀瓶さんはシュッとして軽やか。上手い。この人の端整な芸風は笑福亭というよりは、どちらかというと米朝一門に近い気がする。
三喬さんの「べかこ」はもう5~6回目。演り過ぎ。飽きた。
鶴笑さんは「僕でも『帯久』や『らくだ』を出来るんですよ。演ってみましょうか?5秒で済みます」と。爆笑!鶴二さんより8歳年上の鶴笑さん。入門当時、鶴二さんは「頼りない高校一年生でした」松鶴から稽古をしてもらえないので、掃除・洗濯・買い物や、ふたりでプロレスごっこをしていたそう。鶴笑さんの初高座は師匠宅があった粉浜の勉強会で、入場無料。お客は5人だったとか。ネタは「東の旅 発端」で、頼んでいた三味線のお師匠さんが都合で来られなくなり「その道中の陽気なこと!」の件でお囃子は鶴二さんの太鼓しかなかった。
パペット落語「義経千本桜」は僕が初めて鶴笑さんを聴き、衝撃を受けたネタ。4年ぶりの再会で、すごく嬉しかった。
鶴二さんはマクラで、先輩落語家に「ミュンヘン」(ビアホール)に連れて行ってもらい、冷奴1個だけをあてに空腹に耐えながら6時間酒を飲み続けたというエピソードを披露。「こういうのが粋なんや」と言われたそう。
「らくだ」はカットなし。願人坊主が登場し、千日前の火屋まで行って「冷酒(ひや)でもいいから、もう一杯」のサゲまで。「どぶさってけつかると思ったら、ゴネよった」など下品な口調もさまになっており、やはりこのネタは笑福亭がピカイチだなとほとほと感心した。
3月7日(水)@繁昌亭
桂文紅さんを偲ぶ会。
- 笑福亭喬若/時うどん
- 笑福亭由瓶/阿弥陀池
- 笑福亭三喬/抜け雀
- 笑福亭鶴瓶/錦木検校
由瓶さんは汗だくになりながら始終ハイテンションの熱演なのだけれど、強弱の変化がなくて一本調子なんだよね。聴いていて疲れる。いい資質を持っているが、それを生かしきれていないと想う。
三喬さんはマクラで大師匠・松鶴の言葉を引用し「汗かく噺家で上手い奴おらへん」と。場内大爆笑!彼の「べかこ」には正直食傷気味だが、「抜け雀」はさすがの老練さ。特に「婿養子」を強調するくすぐりは可笑しかった。
仲入りをはさみ、毎日放送「ちちんぷいぷい」の西アナウンサーが登場。二日前に鶴瓶さんから電話があり、「お前にマクラをまかせた!」と。そして前日にファックスで原稿が届き、それを朗読された。
江戸時代には士農工商同様に盲人にも身分制度があり、低い方から按摩→座頭→勾当(こうとう)→別当(べっとう)→検校(けんぎょう)だったとの説明あり。
「錦木検校」は按摩とお殿様の清々しい友情物語である。鶴瓶さんは「心の目」を強調。亡くなったお母さんのモットー「ネアカ元気でへこたれず」も挿入しながら、各役柄の演じ分けも巧みで、絶品の高座であった。このネタと「らくだ」こそ、鶴瓶落語の真髄であるとここで断言しよう。
最後はサプライズで桂文福さんまで登場し、得意の相撲甚句を披露。大変めでたい気持ちで繁昌亭を後にした。
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