人生はビギナーズ(beginners)
評価:A
クリストファー・プラマーが82歳という史上最高齢でアカデミー助演男優賞を受賞したことで話題になっている。アカデミー賞が今回84回目。プラマーはオスカー像に向かって「君とは2歳しか違わないのに、今まで会う機会がなかったね!」と茶目っ気たっぷりにスピーチし、満場の喝采を浴びた。
映画公式サイトはこちら。
僕がクリストファー・プラマーを初めて観たのは中学生の時。映画「サウンド・オブ・ミュージック」(1965)のトラップ大佐だった。その時は「この人、大根役者じゃない?」というのが第一印象だった。なんだか、いつもニヤニヤしているんだよね。「そこは薄ら笑いを浮かべる場面じゃないだろう!」と子供心に思ったんだ。
ところがこの人は老いるにつけて良くなっていった。まずはなんと言ってもカルト映画「ある日どこかで」(1980)における、ヒロイン(舞台女優)のマネージャー役だろう。これは威厳があって味のある演技だった。
アカデミー作品賞を受賞した「ビューティフル・マインド」(2001)も良かったなぁ。
さて、「人生はビギナーズ」である。ここでのプラマーは妻と死に別れ、75歳にして「私はゲイだ」とカミング・アウトするという役柄。これはマイク・ミルズ監督の実体験(実父のエピソード)を元に書かれている。
いやぁ、この作品はクリストファー・プラマーに尽きる!助演でありながら存在感が圧倒的。紛れもなく彼の生涯、最高の演技であった。息子役のユアン・マクレガーも悪くないが、霞んじゃうよね。
この映画を観ながらつくづく感じたのは、人間という存在は誰もが孤独であり、身を寄せ合い孤独に孤独を重ねて生きざるを得ないということ。アメリカ映画でありながら、どこかヨーロッパ映画の匂いを漂わせる作風であった。
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