ロレンツォ・ギエルミ再登場!/バッハ・オルガン作品連続演奏会、最終回@いずみホール
いずみホールへ。
バッハ研究の総本山バッハ・アルヒーフ・ライプツィヒ所長でハーバード大学教授のクリストフ・ヴォルフと、いずみホール音楽ディレクター磯山 雅 (国立音楽大学)教授を芸術監督として続けられてきたこのシリーズも最終回(第10回)を迎えた。
最後を記念して、いままで登場したオルガニストからひとり選び再登板してもらうこととなったそう。企画会議で投票が行われた結果、イタリアのロレンツォ・ギエルミに白羽の矢が当たった。
3年前に聴いた感想は下記。
また演奏会前日、ヴォルフ所長の講演会が催され(ギエルミの演奏付き)、質疑応答もあった。僕は以前より抱いていた疑問をぶつけてみた。
ディズニー映画「ファンタジア」で使用され、ストコフスキーによる管弦楽編曲も有名なJ.S,バッハ/トッカータとフーガ ニ短調 BWV565には昔から偽作説が根強くある。バッハ・コレギウム・ジャパンの鈴木雅明さんがそのことに言及されており(→こちら)、Wikipediaにも記載がある(→こちら)。そこで最新の学説では偽作の可能性が高いのか、それとも真作説が有力なのか質問してみた。するとヴォルフ所長の回答はこうだった。
トッカータとフーガ ニ短調が真作であることは間違いなく、これはバッハ研究者の間でも意見が一致している。ただし非常に若い頃の作品なので、自分を世間にアピールしようという意図が認められ、派手な内容になっている。だから後期のバッハ作品とは作風が異なる。
トッカータとフーガは大好きな楽曲なので、バッハの作品で間違いないと分かり安堵した。また、ヴォルフ所長が「バッハの音楽はパイプオルガンの形に似て、シンメトリー(左右対称)に構成されている」と語ったのが印象深かった。
- 前奏曲とフーガ ハ長調 BWV531
- 前奏曲とフーガ ニ短調 BWV539
- トリオ・ソナタ 第3番 ニ短調 BWV527
- 協奏曲 ニ短調 BWV596
- 《シュープラー・コラール集》
目覚めよ、とわれらに声が呼びかける
私はどこに逃れゆくべきか
ただ神の御旨に従う者は
私の魂は主をあがめ
ああ、私たちのもとに留まってください、主イエス・キリストよ
イエスよ、あなたはいま御空より下り - 前奏曲とフーガ イ短調 BWV543
曖昧さはなく非常に明晰で、透明度の高い演奏だった。音色の選択も上品で、明るい。晴れ渡る青空を連想させた。
なお協奏曲はヴィヴァルディ作曲「調和の霊感」の編曲であり、トリオ・ソナタは磯山さんが一番好きな曲だそう。
最後に東日本大震災による犠牲者の冥福を祈り、アンコールが演奏された。
なお、今年の8月からやはりバッハ・アルヒーフ・ライプツィヒ協力の下、「バッハ・オルガン作品全曲演奏会」という新企画がスタートする。年2回、7年間かけるという壮大なプロジェクトに期待したい。今までの経験上、ヴォルフ所長が選ぶオルガニストに間違いはない。
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コメント
「精霊」でなくて「聖霊」ですね、heilige Geist
投稿: | 2012年3月21日 (水) 17時39分
仰る通りアンコール曲名は「聖霊」が正しく、ホール・スタッフの書き間違いのようです。いずみホールにその旨、連絡しておきました。
投稿: 雅哉 | 2012年3月21日 (水) 19時23分