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戦火の馬

評価:B

War_horse

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スティーヴン・スピルバーグ監督の映画は2種類に分類される。本当に自分が撮りたい作品と、アカデミー賞狙いの作品である。前者は「未知との遭遇」「E.T.」「ジュラシック・パーク」「タンタンの冒険」などであり、後者は「カラー・パープル」「太陽の帝国」「ミュンヘン」などが該当する。「戦火の馬」は勿論、後者に入る。しかし僕は想うのだが、既に「シンドラーのリスト」で作品賞・監督賞を、「プライベート・ライアン」で2度目の監督賞を受賞しているのだから、もう十分なんじゃない?”物欲しげな”スピルバーグ映画はあまり観たくないのだけれど……。なお、僕はデビュー以降劇場公開されたスピルバーグ映画を全作品観ている。

この物語の面白さは、馬の所有者がどんどん替わっていくところ。まるで「レッド・ヴァイオリン」(1998)か、一着の夜会服をめぐるジュリアン・デュヴィヴィエ監督「運命の饗宴」(1942)みたい。馬を主人公とした戦争映画は今までなかったし、大変ユニークだと想う。

あと、映画史に燦然と輝く過去の傑作へのオマージュ(眼差し)をこの映画から強く感じた。例えば林の中を騎馬で奇襲するシーンはデヴィッド・リーン監督「ドクトル・ジバゴ」(1965)のパルチザンを髣髴とさせるし(スピルバーグは高校生のときにリーンの「アラビアのロレンス」を観て映画監督になろうと決意したと告白している)、青年が馬に乗って我が家に帰ってくるのを家族が戸外で見守る構図は、まんまジョン・フォード監督の「捜索者」(1956)だ。そして真っ赤な夕焼けを背景に人物がシルエットで浮かび上がる場面は「風と共に去りぬ」(1939)といった具合。

また、イギリス・テイスト満載のジョン・ウィリアムズの音楽(アカデミー作曲賞ノミネート)の素晴らしさは特筆に価する。過去のジョン作品で言えば「ジェーン・エア」「遥かなる大地へ」「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」などに近い雰囲気。スピルバーグとの友情はデビュー作「続・激突!/カージャック」(1974)からずっと続いている。ジョンが音楽を担当しなかったのは「カラー・パープル」のみ。これはクインシー・ジョーンズがプロデューサーだったから仕方ないよね。

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