丸谷明夫(特任教授)指揮!/大阪音楽大学 吹奏楽演奏会(創立100周年プロジェクト)
3月4日(日)ザ・シンフォニーホールへ。
以前聴いた短期大学部とは違い、今回は大学4年生が中心。バンダ(金管別働隊)は2年生や3年生が演奏。
第1部は大阪府立淀川工科高等学校の名誉教諭でもある丸谷明夫 先生(丸ちゃん)が指揮。音楽大学では吹奏楽指導法の特任教授である。
- リード/音楽祭へのプレリュード
- ホルスト/吹奏楽のための第2組曲
- ヴェルディ/歌劇「アイーダ」より凱旋行進曲とバレエ音楽
(木村吉宏 編)
「音楽祭へのプレリュード」はゆったりとしたテンポで雄大な演奏。丸ちゃんが淀工吹奏楽部を指揮するときは極めて速いテンポだが、大学生やなにわ《オーケストラル》ウィンズなどプロを振るときは若干テンポを落とすのが特徴である。高校生がゆっくり演奏するとボロが出るからだろう。
ホルストはカチッと引き締まった演奏。第2曲「無言歌」のオーボエ・ソロはしっとりと歌う。終曲は躍動するリズムが心地よい。
アイーダのバレエには疾走感があった。客席から向かって舞台正面のパイプオルガン脇にアイーダ・トランペットが6名。また後方2階席両サイドにトランペット、トロンボーン、ホルン、ユーフォニアムのバンダが陣取る。抜群のサラウンド効果だった。
第2部の指揮は北野 徹 教授。
2012年度全国吹奏楽コンクール課題曲より
- 福田洋介/さくらのうた
- 土井康司/行進曲「よろこびへ歩きだせ」
- 足立 正/吹奏楽のための綺想曲「じゅげむ」
- 和田 信/行進曲「希望の空」
さらに、
- ヴァン・デル・ロースト/いにしえの時から
- スパーク/宇宙の音楽
課題曲「さくらのうた」を聴いて「アニメの主題歌みたい!」と想った。久石譲の影響をモロに感じた。強弱やメリハリに乏しく、コンクールで勝てない曲。
「よろこびへ歩きだせ」は単に音楽として詰まらない。
「じゅげむ」は「とおりゃんせ」風で気に入った。リズムセクションが大活躍。
「希望の空」は映画「となりのトトロ」の「さんぽ」を髣髴とさせ、ニヤニヤしながら聴いた。「さくらのうた」の福田が1975年、「希望の空」の和田が1977年生まれ。この世代は宮崎アニメ、久石さんの音楽体験が強烈なのだろう。
「いにしえの時から」と「宇宙の音楽」はどちらも原曲が金管バンド用の音楽で、作曲家自身が編曲したもの。
「いにしえの時から」冒頭はオケゲム、ジョスカン・デ・プレなどルネッサンス期のフランドル地方の音楽を連想させ、途中ティンパニが高鳴るとさすが「スパルタカス」の作曲家らしく野生の本能が目覚める。再び古典的佇まいとなり美しいサックス・ソロが奏でられる。なお、この楽器を創造したアドルフ・サックスはヴァン・デル・ローストと同じベルギー出身である。そして速いパッセージへと切り替わり、喧騒のフィナーレとなった。
2005年6月3日、山下一史/大阪市音楽団がザ・シンフォニーホールで「宇宙の音楽」吹奏楽版を初演した。その場に僕もいた。そして吹奏楽コンクールでは福岡県代表の精華女子高等学校がこの曲を2度自由曲で取り上げ、いずれも金賞を受賞している。その演奏も普門館で聴いている。
冒頭のホルン・ソロは「t=0」、つまりこの宇宙が生まれる前の無の状態を表し、「ビッグバン」を経て「孤独な惑星」(=地球)「小惑星群と流星群」「宇宙の音楽」(=ピタゴラス音階)「ハルモニア」(=ピタゴラスが説いた宇宙の真理との調和)「未知へ」と続く。美しいハーモニー。この曲はスパークの最高傑作だと改めて確信した。
アンコールは
- スパーク/陽はまた昇る
- K. & W. レスリー/マドリードへの夜間飛行
東日本大震災以降、スパークの「陽はまた昇る」は折に触れ何度も聴いたなぁという感慨に耽った。
そこにはイギリス人スパークと日本人との絆があり、音楽に国境はないということをしみじみ感じ入った。
未曾有の、大変な一年であった。
| 固定リンク | 0


コメント