ハリウッド映画版「ドラゴン・タトゥーの女」
評価:A
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原作の「ミレニアム」三部作(全六冊)は読破した。大変面白いミステリー小説である。
三部作はすべて原作者の母国スウェーデンで映画化されている。今回はそのリメイク。「ぼくのエリ 200歳の少女」(スウェーデン)→「モールス(LET ME IN)」(ハリウッド版)みたいに、舞台をアメリカに置き換えるのかと思いきや、スウェーデンのままだったので驚いた!ほぼ原作に忠実な展開で、あれだけ膨大なボリュームを、よくここまでコンパクトにまとめたなと舌を巻いた。脚色は「シンドラーのリスト」「マネーボール」のスティーヴン・ザイリアン。
デヴィッド・フィンチャー監督は確固たるスタイルを持った映像作家である。「ドラゴン・タトゥーの女」でも卓越した仕事をした。青色など寒色系を主体とした映像はこの物語に相応しい(過去は赤みを帯びた暖色系になる)。セックスや残酷描写は容赦ないが、ちゃんと品格を保っているのもさすがだ(R-15+指定、つまり15歳未満禁止)。考えてみたら猟奇的連続殺人を素材に、現代社会の闇を描くという点では「セブン」(1995)「ゾディアック」(2007)などで彼が追求してきたテーマであり、一貫した姿勢をそこに感じる。それにしてもボカシの入った映画って久しぶりに観たな。2008年の「ラスト、コーション」以来かも?
「ソーシャル・ネットワーク」からフィンチャーとコンビを組むトレント・レズナー&アッティカス・ロスのノイズを取り入れた音楽も素晴らしい!文句をはさむ余地なし。
主演はジェームズ・ボンド役でお馴染みのダニエル・クレイグとルーニー・マーラ。マーラは「ソーシャル・ネットワーク」で演じた女学生とは完全に別人。本作でアカデミー賞の主演女優賞にノミネートされたのも納得できる体当たりの熱演であった。
シリーズの続きも是非、フィンチャーにメガホンを取ってもらいたいものである。
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