霧矢大夢 主演/宝塚月組「エドワード8世 -王冠を賭けた恋-」「Misty Station -霧の終着駅-」
宝塚大劇場へ。
宝塚月組のトップ・スター・霧矢大夢、蒼乃夕妃さんのさよなら公演を観劇。
大野拓史(作・演出)「エドワード8世 -王冠を賭けた恋-」と、斎藤吉正(作・演出)のショー「Misty Station -霧の終着駅-」の二本立て。
きりやん(霧矢)を初めて意識して観劇したのは2002年の月組「ガイズ&ドールズ」のアデレイド(女役)。明るい笑顔とずば抜けた歌唱力が魅力の男役だった。
大野は源氏物語を題材にした「夢の浮橋」など和物で実力を遺憾なく発揮する演出家だが、正直今回観て洋物は駄目だなと想った。そもそも題材そのものが宝塚に合っていない。産業革命で成功したイギリスだが文化的にはヨーロッパでは二流じゃないかな?料理で誇れるものはフィッシュ&チップスとローストビーフしかないし(つまり食文化が貧しい。だって日本で「イギリス料理店」なんて皆無に等しいでしょ?)、ファッションはイタリアやフランスには敵わない。美術や建築も駄目。音楽もイタリア、フランス、ドイツが中心地だった。結局残るのは文学と演劇だけ。要するに地味なんだ。華やかさがない。だから場所はロンドンなのにコール・ポーター作曲のブロードウェイのナンバーを使ったりして、苦心の跡が痛ましかった。身勝手な主人公にも共感出来ない。アカデミー作品賞を受賞した「英国王のスピーチ」(吃音の弟が主役)の方が断然面白い。
ショーもいまいち。きりやんのサヨナラだからって、無理矢理「霧」をテーマにしなくてもいいんじゃない?斎藤作品はショー「BLUE・MOON・BLUE―月明かりの赤い花―」やバウホールの「カラマーゾフの兄弟」が好きだったから、期待していたのだけれど……スカ。
まぁ、SS席5列目で、きりやんと蒼乃さんに(タカラジェンヌとしての)お別れが出来たので、よしとしようか。
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コメント
はじめまして。
以前からこっそりと記事を読ませていただいております。
私は宝塚では特に霧矢さんのファンなのですが、
今回の公演はきりやさんにとても合ったキャラクターだと感じ、
個人的にはとても楽しめました。
なので記事の意見に少々驚きました。
というのも、今回のお芝居はきりやん自身がこの題材を取り上げてほしいとのご要望だったという話を聞きました。
なので、もし機会があればもう一度観ていただきたいなとおこがましくも思ってしまいますが(笑)
ついに霧矢さんも退団ということで月日の流れを感じます…
これからも興味深い記事を楽しみにしております。
投稿: misa | 2012年2月22日 (水) 20時34分
misaさん、コメントありがとうございます!
きりやんは大好きなジェンヌだったので、女優転進後の彼女にも期待しています。
歌唱力と演技力を兼ね備えたひとだから、例えば今度、安蘭けいさんが演じる「サンセット大通り」のノーマ・デズモンド役なんかを将来観たいなぁ。
投稿: 雅哉 | 2012年2月24日 (金) 08時48分