ハリウッド・メジャー会社の衰退/アカデミー賞授賞式雑感
オスカー・ナイトが終わった。
僕の予想の的中は作品・監督・主演男優・助演女優・助演男優・脚本・脚色・美術・衣装・メイクアップ・作曲・歌曲・録音・音響編集・外国語映画・長編アニメ・短編アニメ・短編ドキュメンタリー賞の計18部門。まぁ、例年並といったところか。
それにしてもメリル・ストリープ3度目の受賞には驚いた!いや、もうだれもがメリルを大女優だと認めているし、いまさら感が強いので、票は集まらないだろうと分析していたのだが……。しかしここまできたら、4回受賞したキャサリン・ヘップバーンの記録に是非挑んでもらいたい。
ビリー・クリスタル、久しぶりの司会はとても愉しかった。作品賞にノミネートされた9作を歌って紹介してくれるショーマンシップが嬉しい。オクタヴィア・スペンサーが助演女優賞を受賞した後で「感動的なスピーチでした。僕も近くにいる黒人女性を抱きしめたくなった。でもビバリーヒルズにはひとりも住んでいなかった」というエッジが効いたジョークも冴えてるね!
シルク・ドゥ・ソレイユのパフォーマンスもダイナミックで圧巻だった。ただ一人だけ、着地に失敗していたのは不問に付す。
さて、ハリウッドのメジャー・スタジオの衰退、企画力のなさは目を覆いたくなるような現状である。
過去10年間のアカデミー作品賞を受賞した映画を見てみよう。
「ロード・オブ・ザ・キング/王の帰還」はニュージーランド出身の監督がニュージーランドで撮った作品。
「スラムドッグ$ミリオネア」「英国王のスピーチ」はイギリス映画。
「アーティスト」はフランス映画。
「クラッシュ」「ノーカントリー」「ハートロッカー」は独立系(インディーズ)映画。
つまり10作品中、メジャー系は「シカゴ」(ミラマックス)「ミリーンダラー・ベイビー」「ディパーテッド」(ワーナー・ブラザーズ)の3作品だけなのである。しかも「ディパーテッド」は香港映画「インファナル・アフェア」のリメイクである。
続編(シリーズもの)やリメイクの乱発、冒険心のなさ。ただこれはアメリカのショービジネス全体に言えることで、例えばブロードウェイ・ミュージカルも映画の焼き直しであったり、「マンマ・ミーア!」みたいに過去のヒット曲を集めたジュークボックス・ミュージカルを量産したりしている。
最早映画も、ミュージカルもアメリカの独占市場ではなく、真の国際化時代が到来したということなのだろう。
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