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オッコ・カムのシベリウス/PAC定期

兵庫県立芸術文化センターへ。

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フィンランド、ヘルシンキ出身の指揮者オッコ・カム/兵庫芸術文化センター管弦楽団 定期演奏会。オール・シベリウス・プログラム。

  • 組曲「カレリア」
  • 交響曲 第7番
  • 交響曲 第2番

カムは1969年に第1回カラヤン指揮者コンクールに優勝、そのアシスタントを務めた。翌年に彼が第1番から3番までを、カラヤンが第4番から7番までを指揮したベルリン・フィルによるシベリウス交響曲全集がドイツ・グラモフォンから発売され、今でも名盤の誉れが高い。現在はフィンランド、ラハティ交響楽団のシェフである。

「カレリア」組曲のI. 間奏曲は重い足取りでゆっくりと立ち上がる。II. バラードになると物憂げで、北欧独特の節回しが胸に沁みる。そしてIII. 行進曲風に は快活で生き生きと弾むよう。プログラム・ノートに民族叙事詩「カレワラ」の源泉となったカレリア地方は”魂の井戸”のような場所だと書かれていて、成る程と想った。

シベリウスの交響曲第7番で想い出すのは、僕が大好きな作家・福永武彦の「死の島」である。この小説でモティーフのように繰り返し語られるのがベックリンの絵画「死の島」であり、シベリウスの交響曲第4番や第7番だった。

交響曲第7番で描かれるのはフィンランドの自然そのものである。そこに人間の姿は見出せない。冒頭、霧の闇の中に辺りが沈んでいる。演奏開始5分後くらいに登場するトロンボーン・ソロが「太陽の主題」を奏でる。日の出の陽光を浴びて次第に霧が晴れ渡り、湖が広がる情景が目の前に広がっていく。そして曲の最後、ヴァイオリン群によって奏でられる2音を聴いて、今回僕は初めて悟った。「嗚呼、フィンランドの森が深呼吸している!」と。

休憩を挟み、第2番。このシンフォニーを書き上げる前、シベリウスは家族を伴いイタリアに4ヶ月の旅をした。その体験がこの作品に反映されていると考えられる。

押しては引く波のように開始される第1楽章。ホルンがイタリアの陽光を指し示す。オッコ・カムの指揮は躍動感に溢れている。

そして間髪を容れずアタッカで第2楽章に突入したので驚いた!

「どうしてなのだろう?」と考えながら聴いているうちに、はたと気が付いた。この交響曲は次のような構成になっている。

第1楽章:ソナタ形式
第2楽章:A-B-A-B-コーダ
第3楽章:A-B-A-B-コーダ
第4楽章:ソナタ形式

お分かり頂けるだろうか?つまり1,4楽章と2,3楽章が対の関係で、まるで鏡面構造のようになっているのだ。だから3,4楽章は休みなく繋がっていくので1,2楽章も同様にしたのではないか(2部構成)というのが僕の推測である。

さて、第2楽章。コンサートマスター豊嶋泰嗣さんが率いる弦楽セクションが粘っこく歌う。音に陰影、深みがある。

第3楽章には切れ。妖精が飛び回るスケルツォは、まるでメンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」みたいだ。

そして終楽章。音楽は力強く、決然と進む。大河のような堂々とした風格。

そしてアンコールはやはりシベリウスの悲しきワルツ。静と動の対比が鮮やか。そこから死と生のせめぎ合いが浮かび上がってくる。

なる程、これがお国芸の力かと感心しつつ、帰途についた。

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