旭堂南湖/「祝島 原発反対三十年」→笑福亭たま/ナイトヘッド
11月26日(土)動楽亭へ。
講談師・旭堂南湖さんのひとり会。客の入りは9人。
- 柳田格之進
- 祝島 原発反対三十年(南湖 作)
南湖さんは上方講談協会の席で「将来は定席の講釈場を作りたい」という夢を語ると、兄弟子たちから「ムリ!」と一言で片付けられたと。
「柳田格之進」については下記をご参照あれ。
上のポスターはファンの人が描いて、当日持って来てくれたものだそう。
日本では「反核」とか「脱原発」など言葉が別れているが、英語では"No Nukes"で一つだというマクラから二席目のネタへ。
山口県上関町にある「祝島」は瀬戸内海に浮かぶ小さな島。名前の由来は古代以来の神職の名称の一つ、”祝部(ほうりべ)”(=航海の無事をひたすら祈った)から来ている。 近海を小型のイルカ”スナメリ(砂滑)”が泳ぎ、海の恵みで漁業を営んできた(発掘された出土品から、弥生時代から漁業を営んでいた形跡があるという)。この地のことは万葉集にも歌われている。
戦後の最盛期には5000人いたとされるが過疎化が進み、現在は500人。65歳以上が69%以上を占める。
そんな島に中国電力が原発を建設しようと計画した経緯、賛成派と反対派に島が二分されて対立してきた30年間の歴史などを、わかり易く語られた。知らないことばかりで、大変興味深く傾聴。
なおこのネタは、来年3月16日にワッハ上方でも演じられる模様。詳しくは→南湖さんのHPへ。
続いて繁昌亭レイトショーへ。
- 笑福亭生寿/平林
- 笑福亭たま/子は鎹
- 笑福亭由瓶/お楽しみ券(由瓶 作)
- 笑福亭たま/新作ショート落語→薄命(たま 作)
たまさん曰く「この会は好事家が集う実験場」。毎回新作が披露されるが、「これは!と言える出来の作品は1年に1作くらい」。それはこちらも承知の上で、毎回愉しませて貰っている。
「子は鎹」は湿っぽさがない、カラッとした一席。生意気小僧がいい。
人から「ケチ」とか「田舎もの」と言われるのが大嫌いという先輩・由瓶さんについてたまさんは、「パワフル」「思い込みが激しい」「何となく(由瓶さんのことを)嫌だった時期があって、しばらく連絡をしていなかったんです。そうしたら携帯のメモリを消されていました」これには場内爆笑。
逆に由瓶さんは才能豊かなたまさんのことをずっと「片思い」していたそうで、「彼には一匹狼でいてほしい。僕以外の他人と口を聴かないで欲しい。新作ネタおろしの会『できちゃったらくご!』なんかやめて欲しい」と。「おたしみ券」は一本調子で、設定が不自然。特に「文七元結」を引用した、橋から飛び降りようとする男を引き止めるくだりは、夜だからこそ説得力があるのであって、昼に変えちゃぁ駄目でしょう。
たまさんの新作ショート落語は「冬のファッション」「ナベツネ」シリーズなどがあり、なかなか秀逸だった。
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