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アルヴァマー序曲をオーケストラで!~丸谷明夫×下野竜也×大フィル《スペシャルライブ》

12月15日(木)、ザ・シンフォニーホールへ。

Sui

  • バーンズ(中原達彦 編)/序曲「アルヴァマー」(管弦楽版)
  • コダーイ/ハンガリー民謡「孔雀」による変奏曲
  • 「スター・トレック」のテーマ
  • J.S.バッハ/シシリアーノ
  • バーンスタイン/「ウエストサイド物語」より”マリア”(ソリスト・アンコール
  • 真島俊夫/3つのジャポニスム(管弦楽版)
  • ヤン・ヴァン・デル=ロースト(中原 編)/カンタベリー・コラール
    (弦楽合奏版)
  • ホルスト/組曲「惑星」より”木星”
  • ホルスト/第二組曲よりマーチアンコール

下野竜也/大阪フィルハーモニー交響楽団の演奏。監修・司会は大阪府立淀川工科高等学校(淀工)吹奏楽部の丸谷明夫 先生(丸ちゃん)。

補助席まで出て満席。立ち見もあり。吹奏楽をやっている中・高校生が多い。

大人気のアルヴァマー序曲は僕も高校一年生の時、吹奏楽コンクール自由曲で演奏した想い出の曲。今では中学生が当たり前のように吹いている。

下野さんからの要望でオーケストラ編曲はベートーヴェン/交響曲 第1番と編成を同じに。打楽器はティンパニ1人のみ。スネアドラムやシンバル、タンバリンがない。金管はトロンボーン、チューバなしで、ホルン2人。冒頭、本来はトランペットの主題をヴァイオリンが演奏する所から不思議な感覚に捕われる。柔らかく優しい響き。スネアドラムの刻みは低弦が担当。ゆったりした中間部もヴァイオリンが主旋律を担当。まるでエルガー/エニグマ変奏曲みたいに聴こえ、近藤浩志さんが奏でるチェロのソロが胸に滲みる。その美しさに涙が出た。

コダーイの「孔雀」は吹奏楽コンクール@普門館では耳タコなのだが、考えてみればオリジナル版を聴くのは初めて。下野さんもこの曲を知らなかったという。自由曲は7-8分で収まるようにカットされているが、原曲は24分。現ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団創立50周年記念の委嘱作。コントラバスが主題を弾くというのがいい。このハンガリー民謡の歌詞は「孔雀よ飛べ 牢屋まで 捕われた無実の人々を救い出せ」という内容だそうで、なかなか過激だ。また変奏の途中、イングリッシュホルンが印象的。リズムに特徴があり、日本の祭囃子を連想させたりする。ハンガリーでは日本と同じく、姓・名の順で名前を書く。また赤ちゃんの時に蒙古斑ができるのも共通しており、意外と人種的に近い存在なのかもしれない。民族色豊かで、熱い想いが伝わる名曲だった。

スター・トレック」「シシリアーノ」のトランペット独奏(および編曲)はハワイ出身のエリック・ミヤシロ。大フィルのトロンボーン奏者・ロイド・タカモトさんは中学・高校時代にエリックさんの1年先輩だったそう。以前エリックさんの演奏を聴いた感想は下記。

エリックさんが高校生の時(1981年)に修学旅行でバンドの仲間と共に大阪に来たことがあり、淀工とジョイント・コンサートをしたそう。そのリハーサルで、丸ちゃんは何と竹刀らしきものを持って現れ、それで指揮台を叩きながら部員を叱っていたとか!「いや、あれはたまたまそこにあった箒だったんです」と丸ちゃん談。その時エリック少年は「さすがサムライの国だ」と感心したと。エリックさんは張りがあり輝く音で、特にどこまでも伸びる高音が素晴らしい。切れ味抜群の演奏。「シシリアーノ」はボサノバ風アレンジで、フリューゲルホルンに持ち替え、しっとりと聴かせた。

3つのジャポニスム」は吹奏楽が原曲だが、東京フィルハーモニー交響楽団のために作曲家自身がオーケストレーションしたもの。外山雄三「管弦楽のためのラプソディ」や貴志康一「日本スケッチ」に近い雰囲気で、日本的情緒に溢れていて僕はとても好きだ。第1曲「鶴が舞う」では鶴の鳴き声や羽ばたく音も表現される。第2曲「雪の川」はソプラノ・サックスのソロあり。第3曲「祭り」はギラギラとして激しい。

弦楽合奏による「カンタベリー・コラール」は、しみじみ美しい。

木星」は遅めのテンポでヘビー級のどっしりした解釈。

アンコールは恒例となった丸ちゃんの指揮でホルストの第2組曲。歯切れよくカチッと引き締まった演奏。レストランでフル・コースを満喫したような贅沢な一夜だった。

このシリーズ、来年のプログラムは既に発表されているが、丸谷先生と下野さん、再来年はカレル・フサ「プラハのための音楽1968」保科洋「風紋」を是非取り上げて下さい(作曲家自身の手による管弦楽版あり)。どうか、よろしくお願いします!

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コメント

私も高校生に埋もれて行ってきました~!
本当に楽しかったです、いつもアルヴァマー序曲の緩徐の部分では泣けてしまいます。
これステージァ(エレクトーン)でも人気のスコアです。
エリックさんも流石!あの肺活量は一体どうなっているのかとおもいますね、やはりトランペットは花形だなぁと思いました。
来年はサックスでしたっけ?ちょっと残念

投稿: jupiter | 2011年12月16日 (金) 21時01分

jupiterさんコメントありがとうございます。

アルヴァマーがエレクトーンでも人気だというのは初めて知りました。

来年のゲスト・須川展也さんは世界一のサクソフォン奏者と言っても過言ではないので、期待して下さい!ドビュッシーとイベールも滅多に聴けない曲なので。

投稿: 雅哉 | 2011年12月16日 (金) 22時24分

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