披瀝「グラズノフとプフィッツナー」 I ~児玉宏/大阪交響楽団 定期
12月1日(木)ザ・シンフォニーホールへ。
児玉宏/大阪交響楽団で、
- プフィッツナー/スケルツォ
- プフィッツナー/オーケストラ伴奏つき歌曲集より
- グラズノフ/交響曲 第4番
歌曲の独唱は本場ドイツの歌劇場で長く活躍し、日本人として初めて「宮廷歌手」の称号を授かった小森輝彦さん。歌われたのは「春の空はそれゆえこんなに青い」「怒り」「月に寄す」「ラッパ吹き」「嘆き」「夜に」。張りのある澄んだ歌声だった。
言うまでもないことだが、プフィッツナーの音楽を生演奏で聴くのはこれが初めて。グラズノフは以前、やはり児玉さんの指揮で交響曲 第5番を聴いた。
モスクワに生まれたドイツ人、プフィッツナー(1869-1949)のスケルツォは19歳の若書き。古典的で端正な響き。弦楽器と管楽器があたかも対話するように交互に演奏するシンプルな音楽。
これが歌曲になると一転、幻夢的で濃密なロマンチシズムを湛える。「怒り」では重い黒雲が立ちこめ、人間の宿命を感じさせる。「月に寄す」は半音を含まない全音音階で表現され、妖しい月夜の情景を巧みに描く。「ラッパ吹き」が氷が砕けたエルベ川に飲み込まれる場面は不協和音が強烈な印象を残す。
オペラや管弦楽伴奏付き合唱曲、歌曲などプフィッツナーの創作活動の中心はリートであった。だから同時代に生きたドイツの作曲家R.シュトラウスと対の関係にある(ナチスへの協力も含めて)。そのことが今回よく分かった。
グラズノフ(1865-1936)の第1楽章冒頭、イングリッシュ・ホルンによる哀切極まりないロシア的旋律に魅了された。のびやかで開放的な楽曲。その中にチャイコフスキーからの伝統が息づいている。また一瞬、ワーグナーの楽劇「ニーベルングの指輪」ライトモティーフを彷彿とさせるフレーズも登場する(グラズノフはバイロイト音楽祭で「パルジファル」を鑑賞している)。第2楽章は軽快な農民たちの踊り。そして第3楽章は祝祭的。生の輝き、歓びに溢れ、確かな手ごたえを感じさせる演奏だった。
児玉音楽監督のプログラミングは知的冒険・発見の旅である。そこには常に驚きがある。貴方もご一緒に参加されませんか?
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コメント
雅哉さん、HPにコメントありがとうございました。
いい演奏会でしたね。
グラズノフを5番、4番とチョイスしてくるのもなかなか心憎いものがありますね。次は、交響曲ではないようですけれど、逆に聞いたことのないプフィッツナーの交響曲にそそられるものがあります。
投稿: ぐすたふ | 2011年12月 3日 (土) 21時14分
ぐすたふさん、コメントありがとうございます。
児玉さんのプログラミングは知らない曲ばかりなので、「次は一体、何が飛び出すのだろう!?」というびっくり箱みたいな興奮、好奇心をかきたてるものがあります。是非シリーズ第2弾もお越し下さいね!
投稿: 雅哉 | 2011年12月 3日 (土) 23時19分