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2011年12月 7日 (水)

スピルバーグ監督/映画「タンタンの冒険 ☆ユニコーン号の秘密☆」3D字幕版

評価:A

スティーヴン・スピルバーグ監督作品は劇場用映画デビュー「続・激突!カージャック」(1974)から最新作まで全部観ている。「未知との遭遇」(1977)以降は全て映画館で。だから彼の良いところ、駄目なところは知り尽くしているつもりだ。ちなみにスピルバーグのワースト作品は「オールウェイズ」と「フック」。

Tintin

映画公式サイトはこちら

スピルバーグ初の(モーションキャプチャ)CGアニメーションで、しかも初3D。

「タンタンの冒険」は秘宝をめぐる冒険活劇で、時代は1930年代だし、北アフリカに主人公が行くし、まるでインディー・ジョーンズみたいだ。そしてはっきり言ってインディー・シリーズより面白かった!

その理由を考えてみると、タンタンは少年なので(彼が恋する)ヒロインが登場しないことがかえって良かったんじゃないだろうか?スピルバーグは大人の女性を描くことが苦手な映像作家である。考えてみて下さい。あなたが印象に残った女優さんって、います?僕に言わせると、スピルバーグ映画で魅力的だったヒロインは「E.T.」のドリュー・バリモアと「宇宙戦争」のダコタ・ファニングだけ。どちらも子供である。つまり相手が異性の場合、彼は少女しか上手く演出できないのだ。

この映画の予告編を観た時は「どうして実写でやらないんだ?」と疑問に感じたが、原作がベルギーの漫画なのでその持ち味を大切にしたかったのだろう。実際、スピルバーグは当初スノーウィ(タンタンの相棒、白い犬)だけCGにして、他は実写で撮ろうと試行錯誤したようである。

しかし蓋を開けてみると全然違和感はなかった。躍動感とスピード感に溢れ、息つく暇もない。また俯瞰ショットなどスピルバーグらしい切り口、被写体の捕らえ方=映像センスが冴える。

久しぶりに巨匠ジョン・ウィリアムズの音楽を堪能できたのも嬉しかった。気持ちいいくらいオーケストラが鳴る。もう来年は80歳なんだね、ジョン。「戦火の馬」も期待しているよ!(日本公開は2012年3月)

スピルバーグが娯楽作(タンタンの冒険)と社会派の作品(戦火の馬)を同じ年に公開するという手法は1993年を想い出させる。この年に「ジュラシック・パーク」(アカデミー賞3部門受賞)と「シンドラーのリスト」(アカデミー賞7部門受賞)が公開された。これが彼のバランス感覚である。

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