三谷幸喜 脚本・演出「ステキな隠し撮り ~完全無欠のコンシェルジュ~」
現在公開中の映画「ステキな金縛り」(通称”ステカナ”)の姉妹篇というべき作品がフジテレビでオンエアされた。
「ステキな隠し撮り」、通称”ステカク”の公式サイトはこちら。
評価:B+
ステカナとステカクは全く別の物語である。しかし出演者は同じ。つまりステカナの役者たちを一つの劇団に見立て、座付き作家としての三谷さんが新作を書き下ろしたという形。かつて主宰していた劇団「東京サンシャインボーイズ」同様のスタイルというわけ。「ステキな金縛り」の音楽がそのまま流用され、その主題歌"ONCE IN A BLUE MOON"も流れる。また市村正親、生瀬勝久は映画と同じメイクで登場。
深津絵里演じる新米コンシェルジュを狂言回しに「グランド・ホテル」形式で様々な人間模様が描かれる。そういう意味において映画「THE 有頂天ホテル」を彷彿とさせる。人間という存在の滑稽さ、そして愛おしさ。
三谷さんが自信を持てない神経質な映画監督役を自ら熱演。ヒロインに新作のDVDを渡し、その感想を求めるが、内容を聞いていると明らかにふたりは「ステキな金縛り」の話をしているから可笑しい。この映画監督のモデルはきっとウディ・アレンだね!また、「一番気になるのはネットの評判」という台詞には爆笑した。
作者がヒロインを始めとする登場人物たちを見つめる眼差しが優しい。昔の三谷さんはこうじゃなかった。やはり、仲間の死(「東京サンシャインボーイズ」の伊藤俊人、享年40歳)や小林聡美との離婚など、人生経験を重ね、人間として一回り大きくなったんだなぁという気がした。
深津絵里はステカナ同様、ステカクでもコメディエンヌとしての魅力を発散。三谷さんの術中にはまり、僕もフカッチャーになりそうで怖い(フカッチャーとは?→こちら!)。
また、映画「ステキな金縛り」のレビューに次のようなことを書いた。
深津、西田が歌う主題歌"ONCE IN A BLUE MOON"は本当にチャーミングな曲だ。これを聴きながら、「オケピ!」以来ご無沙汰している三谷さんのミュージカルを久しぶりに観たいと想った。是非、次作はミュージカル映画を!
そんな僕の夢をちょっとだけ叶えてくれるステキな場面がステカクには用意されていて、それもすごく嬉しかった。
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