寺神戸亮&大内山薫/バロック・ヴァイオリン・デュオ
11月18日(金)、大阪府豊中市にあるノワ・アコルデ音楽アートサロンへ。
寺神戸亮(てらかどりょう)さんは言わずと知れたバロック・ヴァイオリンの世界的名手。以前聴いた感想は下記。
大内山薫(おおうちかおる)さんはオランダのデン・ハーグ王立音楽院に2年間留学し、そこで寺神戸さんに師事した。
その師弟によるデュオ・リサイタルである。
- ヴィヴァルディ/二つのヴァイオリンのためのソナタ RV48
- ラモー(ラベ・ル・フィス編)/オペラの抜粋による組曲
- ルクレール/二つのヴァイオリンのための通奏低音を伴わないソナタ 第5番
- モーツァルト/二つのヴァイオリンのための組曲
オペラ「魔笛」より(1792年の編曲版に基づく)
ガット弦を張ったバロック・ヴァイオリンは滑らかな音色のモダン楽器(スチール弦)と異なり、雑味があり倍音が豊か。朴訥で木目の肌触り。
村上春樹の小説「ノルウェイの森」で”直子”はビートルズの音楽について次のように語る。
この曲を聴くと深い森の中で迷っているような気分になるの。どうしてだかわからないけど。
寺神戸さんの演奏を聴いていると、これと同じような感覚になる。
ヴィヴァルディはまさに、二つの楽器の対話であった。
ラベ・ル・フィスは1759年にヴァイオリンの教則本を書き、そこに収録されているのがラモーのオペラ「ピグマリオン」「プラテー(カエルの女王)」「イポリートとアリシー」「優雅なインドの国々」からの抜粋。ヴァイオリンは野太い音で雄弁。
ルクレールの音楽は劇的で美しい。深い感銘を受けた。
ここでバロック弓から、より現代に近い弓へ持ち替えられた。
モーツァルトの「魔笛」は作曲家の死後、家庭で愉しむ目的で他者によって編曲され、出版されたもの。しかし、序曲・導入部・パ、パ、パ(二重唱)の楽譜は存在しなかったので、寺神戸さんが凝った編曲をされた。ふたりの演奏は丁々発止のやり取りで、息が合ったところを聴かせてくれた。
アンコールはJ.S.バッハ/2声のインベンション、3声のシンフォニアより第8番だった。
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