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2011年10月28日 (金)

オペラ座の怪人 25周年記念公演@ロイヤル・アルバート・ホール(ロンドン)

僕はミュージカル「オペラ座の怪人」をこよなく愛している。どれ程かというと東京、ロンドン、ブロードウェイ、ラスベガスでこの作品を観ているくらいに。

この度、25周年記念コンサートの映像をTOHOシネマズ 梅田にて、デジタル上映で鑑賞した。

公式サイトはこちら(上映時期・期間はそれぞれの劇場で異なる)。

Phantom

ロイヤル・アルバート・ホール(収容人数約7,000人)は「プロムス」ザ・ラスト・ナイトの会場として有名。

改めてつくづく感じたのは、「オペラ座の怪人」の立ち位置は、映画における「風と共に去りぬ」と同じだなということ。つまりミュージカルの金字塔。これを超える作品は未来永劫生まれないだろう。

「レ・ミゼラブル」10周年記念や25周年記念コンサート(DVD、ブルーレイ発売中)みたいに、衣装を身にまとった状態でマイクの前に立って歌う演奏会形式なのかなと想っていたら、ちゃんと舞台装置があって役者が演じる、プレイ方式の上演だった。ただ、元々この会場はコンサート・ホールであり演劇を想定していないので、構造上の制約でハロルド・プリンス演出によるオリジナル・プロダクションとは色々変更点があった。

例えば映画版で使用された2万個のスワロフスキー・クリスタル製のシャンデリアが登場。しかし舞台とは異なり、シャンデリアが上昇したり落下したりはなし。

また劇中オペラ「ハンニバル」で象の巨大な機械仕掛けの模型が出てきたりするのもカット。"The Music of the Night"の場面でも、ウェディング・ドレスを着たクリスティーヌのマネキンはなし。

華やかなバレエ・シーンや、地下の湖の場面で炎の灯った燭台が湖底からせり上がって来るのはそのままあった。

また映画版で追加されたマダム・ジリーが語る怪人の生い立ちは残されたが、アカデミー歌曲賞にノミネートされた新曲"Learn To Be Lonely"は採用されず(←しょーもない曲だから、僕はこの方針を支持する)。

オーケストラは舞台中段に陣取り(弦が左翼、木・金管が右翼)、それより上方にある大きなスクリーンに映像を投影。また下方の舞台装置にはLED(発光ダイオード)電飾による映像が。このLED電飾がデジタル高画質の大画面だとドットが目立ち、安っぽく感じられたのが残念。喩えるならばジョルジュ・スーラの点描画を超至近距離で見ているような違和感があった。

今回のプロダクションで特筆すべきは2幕初めの「マスカレード(仮面舞踏会)」!とにかくアンサンブルが100人くらい登場して、その人海戦術によるスケール感が圧巻だった。これだけでも映画館に足を運ぶ価値は十分ある。ちなみにオリジナル版の出演者は約30人で、その少なさをカバーするために「マスカレード」では精巧に作られた人形が階段に配置されている(記念公演では勿論なし)。

オペラ座の怪人を演じるラミン・カリムルーはこのミュージカルの続編"Love Never Dies"のファントム役オリジナル・キャスト(ロンドン公演は今年8月27日に閉幕)。ロンドン初演キャストのマイケル・クロフォード、日本の市村正親さん、カナダのコルム・ウィルキンソン、オーストラリアのアンソニー・ワーロウらはテノールだが、ラミン・カリムルーの音域はどちらかと言うとバリトンの印象。しかし美声だし、とにかく豊かな低音が魅力的。そして激しくシャウトし、情熱的で素晴らしい。

クリスティーヌ役のシエラ・ボーゲスはディズニー「リトル・マーメード」ブロードウェイ版のアリエル役オリジナル・キャスト。最初サラ・ブライトマン同様にヴィブラートがきついかな?と想ったが、この人は演技がパーフェクトだった。"The Phantom of the Opera"のナンバーから涙を流していて、ここはクリスが怪人の催眠術にかかりトランス状態になっているわけだから、説得力があった。また二幕最後も泣きながらラウルと二重唱を歌いつつ去っていき、初めてこの場面が腑に落ちた。声量もあり、特に"Wishing You Were Somehow Here Again"(墓場のソロ)はこれ以上ドラマティックな表現を聴いたことがないと想った。

ラウル役のヘイドリー・フレイザーは宮本亜門演出「ファンタスティックス」ロンドン公演に出演していた人。イケメンで驚いた。正に貴公子。マイケル・ボールみたいな甘い声ではなく、むしろ気高い感じ。ピッタリ。

フィナーレは作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーが登場。ウェバーは目に涙を貯めており、「私は5歳の時、初めてこの劇場でプロムナード・コンサートを聴きました。ベートーヴェンの交響曲でした。私の作品がここで上演されるなんて信じられません」と。そしてロンドン初演キャストのマイケル・クロフォードサラ・ブライトマンを紹介。サラについては「私のAngel of Musicです!」

そしてサラと4人のファントムで"The Phantom of the Opera"を熱唱。4人の内訳はコルム・ウィルキンソン(カナダ初演キャスト)、アンソニー・ワーロウ(オーストラリア初演キャスト)、ジョン・オーウェン= ジョーンズ(現在のロンドン公演キャスト)、そしてピーター・ジョーバック(次期ロンドン公演キャスト)。

最後はプロデューサーのキャメロン・マッキントッシュも現れ、出演者全員で"The Music of the Night"を歌った。

なんともゴージャスで、夢のような3時間であった。

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