延原武春/日本テレマン協会のJ.S.バッハ/ミサ曲 ロ短調
10月24日、いずみホールへ。
延原武春/テレマン室内オーケストラ・合唱団で、
- J.S.バッハ/ミサ曲 ロ短調
を聴く。ここはクラシカル(古)楽器でも演奏するが、今回はモダン楽器による公演で、ノン・ヴィブラート(ピリオド)奏法。しかし、新たな試みとしてカーボンファイバー製のバロックボウ(弓)を使用。ウェイトは重めに作られているという。選択された楽譜は2010年にベーレンライター社から刊行された新校訂譜。
第1曲「主よ哀れみたまえ」は比較的遅めのテンポで開始され意外に感じたが、とても力強い演奏。決して重くはならず、どちらかというと歓びに満ち、祝祭的気分が強い。聴いていて愉しく、あっという間に2時間が経過した。独唱ではソプラノの渡辺有香さんが素直で澄んだ歌声を聴かせてくれて、とても良かった。
バッハの三大宗教曲のうち、ヨハネ受難曲は劇的で激しい感情の吐露があり、マタイ受難曲は絶望と諦念に彩られている。それぞれの特徴、個性が際立っており、面白いなと改めて感じた。
延原/テレマンの演奏は3,4年前からほぼ毎月のように聴いてきた。中でも今回の演奏は頭一つ抜けた、瑞々しく充実した内容だった。古楽器とモダン楽器の二束のわらじを履いてやって来た成果が、いま美しく花開こうとしているという印象を受けた。
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