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2011年9月21日 (水)

下野竜也/大フィルのブルックナー交響曲 第2番

ザ・シンフォニーホールへ。

Shimo

下野竜也/大阪フィルハーモニー交響楽団(コンサートマスター:長原幸太)の定期演奏会第1日目を聴く。

  • J.S.バッハ=ベリオ編/「フーガの技法」より コントラプンクトゥスX IX
  • ボッケリーニ=ベリオ編/「マドリードの夜の帰営ラッパ」の4つの版
  • ブルックナー/交響曲 第2番(1872年/キャラガン版)

未完の「フーガの技法」は大バッハの絶筆。B-A-C-Hの主題(バッハの署名)が登場することでも知られている(後にリスト「バッハの名による幻想曲とフーガ」、プーランク「バッハの名による即興ワルツ」、ニーノ・ロータ「バッハの名による変奏曲とフーガ」等も作曲された)。ベリオの編曲は、サキソフォンが使用されているのも面白いし、楽譜が途切れる箇所では不協和音を重ねて、いかにも20世紀らしい仕上がりになっている。また弦がノン・ヴィブラートで演奏することで、無機質な肌触りが印象的だった。

一転してボッケリーニではヴィブラートを効かせ、イタリアの作曲家らしく明るく愉しげ。好対照だった。原曲は弦楽五重奏の長短2つの版、ギター五重奏、ピアノ五重奏の4つのバージョンがあるそうで、それを同時に演奏してしまうというアイディアが斬新。

ブルックナーは(長年の研究を重ね)1872年の初稿版を限りなく再現したキャラガン版。2005年に刊行されたもの。曲目解説によると交響曲第5番を書いた直後に作曲家自身が大幅な改訂をし、第2、第3楽章を入れ替え、第4楽章を中心にカットしたそうである。ちなみに僕が所有するショルティ/シカゴ交響楽団のCD(ノヴァーク版)は所要時間55分。今回のキャラガン版は67分だった。

キャラガン版は第2楽章がスケルツォなのだが、曲想が交響曲第9番 第2楽章に似ているので、全く違和感はない。第8番も第2楽章がスケルツォなわけで、ブルックナーは初期からこういう構想があったのだなと新鮮だった。

大フィルの弦は厚みがあり、さすが故・朝比奈隆から長年薫陶を受けてきたオーケストラだなと改めて感嘆した。ビロードのような美しさ。これぞブルックナー・サウンド!

下野さんの指揮は速めのテンポで推進力があり、パワフル。そのピンと張り詰めた緊張の糸は終楽章最後の音符まで途切れることはなかった。第2楽章スケルツォはパンチが効き、気迫が感じられた。しかしこの作曲家の特徴である全休止(ゲネラルパウゼ)ではたっぷり間を取り、第3楽章ではじっくりと歌うことも忘れない。祈りに満ちた深い音が響く。そして終楽章は猛獣の雄叫び!切れがある。全身全霊を込めた圧巻の名演だった。

ただ大変残念だったのは先日のチャイコフスキー・セレクション以来、ホルンの池田さんが不調を引きずっていた事。ロングトーンも安定せず、お粗末だった。

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