延原武春/大フィルの「軍隊」「運命」《ウィーン古典派シリーズ V 》
9月15日(木)いずみホールへ。
バロック音楽の専門家・延原武春が指揮する大阪フィルハーモニー交響楽団(コンサートマスター:崔 文洙)を聴く。
- ハイドン/交響曲 第100番「軍隊」
- モーツァルト/クラリネット協奏曲
- ベートーヴェン/交響曲 第5番
クラリネット独奏は大フィル首席奏者ブルックス・トーン。
第1・第2ヴァイオリンが指揮台をはさみ向かい合う、対向配置。ノン・ヴィブラートのピリオド・アプローチ。バロック(クラシカル)・ティンパニを使用し、その強烈な響きが劇的効果を上げる。
特にモーツァルトは弦が6-6-4-3-2という小編成ですっきりした響き。ベートーヴェンでも第1ヴァイオリンが10人。
「軍隊」は軽快なフットワークで機動力ある演奏。トルコの軍楽隊が登場する場面では爽やかで瑞々しい。清明なハイドンだった。
モーツァルトはあくまで美しい。天国的響き。古典に新たな生命が吹き込まれた。
ベートーヴェンは切れがありスタイリッシュ。スコアに記されたメトロノーム記号に忠実な速いテンポなので、第2楽章も動的でリズミカル。第3楽章は疾走するフーガ。そして第4楽章は推進力がありパンチが効いている。これが勝利への力強い行進曲なのだということを改めて感じさせた。
交響曲第5番には「苦悩を超えて歓喜に至る」という基本コンセプトがあるが、これは後世の多くの作曲家に踏襲されている。例えばブラームス/交響曲 第1番、チャイコフスキーの5番、マーラーの5番、そしてショスタコーヴィチの5番。こうしてみるとやっぱり凄い曲だね。
アンコールは毎回、バッハ/管弦楽組曲 第3番からアリア。
音楽評論家・澤谷夏樹さんによると、延原さんは「アリアはモダン奏法でスタートして回を追うごとに古楽寄りにしてまんねん」と語られていたそうだ。
シリーズ当初は慣れないノン・ヴィブラートに戸惑いがあったのか、無意識に左指を動かして(揺らして)いる弦楽奏者が散見されたが、現在ではそういうこともなくなった。各自がピリオド・アプローチを十分咀嚼し、自分のものにした印象を強く受けた。オーケストラは確実に進化している。今後の展開が楽しみだ。是非このコンビでベートーヴェン交響曲全集のレコーディングを!
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