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「大阪クラシック2011」5日目/大植英次 特別企画「名曲の隠された事実」

9月8日(木)、本願寺津村別院(北御堂)へ。

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【第50公演】ヴァイオリン:小林亜希子 ヴィオラ:川元靖子 チェロ:庄司拓 ピアノ:藤井快哉 で、

  • フォーレ/ピアノ四重奏曲 第1番 ハ短調 Op.15

優しい気持ちになれる音楽。音がキラキラしていて、その水に反射する光の煌めきは、後のドビュッシー(海)やラヴェル(水の戯れ)に繋がっている。気品、そして匂い立つもの。

【第51公演】@大阪ガスビル 1Fフラムテラス

ヴァイオリン:佐久間聡一 チェロ:織田啓嗣 で、

  • タルティーニ/ヴァイオリン・ソナタ ト短調 「悪魔のトリル」
  • ヘンデル/ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ
  • ロンドンデリーの歌(アンコール)

入魂の演奏。気迫と覇気があった。さすが佐久間くん!

【第53公演】@本願寺津村別院(北御堂)

ピアノ:水垣直子 ヴァイオリン:鈴木玲子、浅井ゆきこ ヴィオラ:松本浩子 チェロ:松隈千代恵 で、

  • シューマン/ピアノ五重奏曲 変ホ長調 Op.44

美しいものへの憧憬を感じさせる音楽。そこには当然、愛妻クララへの想いもあるだろう。

そして夜が訪れた。ザ・シンフォニーホールへ。

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【第59公演】大植英次 特別企画「名曲の隠された事実」

まず大植さん指揮、大阪フィルハーモニー交響楽団によりマーラー/交響曲 第3番(1897年初演)第1楽章 冒頭部が演奏された。続いてブラームス/交響曲 第1番(1876年初演)第4楽章の旋律。大植さんの指摘どおり、そっくりである。

次にマーラー/交響曲 第6番 第1楽章のティンパニの連打。作曲家が「死の舞踏へのリズム」と表現した箇所。それが引用しているのはベートーヴェン/交響曲 第3番「英雄」 第2楽章のコントラバス。同じリズムはマーラー6番 第4楽章にも登場。

エルガー/エニグマ(謎の)変奏曲。このテーマは1899年の初演以来今まで、オリジナルが何に由来するか分からなかった。しかし大植さんはそれを発見したと。ただし他言無用とのことにて、ここには残念ながら書けない。

続いてスコットランド民謡「久しき昔(蛍の光)」。そして「ルール・ブリタニア」の旋律を比較。

エニグマ変奏曲に戻り「ニムロッド」。これはモーツァルト/交響曲 第38番「プラハ」第2楽章を基にしているという。ここで「ニムロッド」を通して。大植さんはアメリカ時代、2001年9月11日同時多発テロの翌日、犠牲者を悼みこの曲を振ったという。非常にゆったりとした心を込めた演奏。大植さんの師レナード・バーンスタインがBBC交響楽団を指揮した録音を想い出させた。

モーツァルトが8歳の時に作曲したという交響曲 第1番から第2楽章。何とここには交響曲 第41番「ジュピター」 第4楽章の動機「ド・レ・ファ・ミ」が既に登場しているではないか!生き生きした演奏。また大植さんによると、ヴァイオリンソナタ 第41番 K.481にもこのジュピター音形が登場するそうだ。

続いてオーケストラがベートーヴェン「英雄」第2楽章を演奏。このホルンに旋律になんと交響曲第5番 第1楽章 第1主題「ジャジャジャジャーン」が既に登場していた!なお、日本で初めて「運命」というタイトルで演奏されたのは1928年。でも命名者は分からないそう(欧米では表題なし)。

モーツァルト/交響曲 第40番 第1楽章(全曲演奏)とベートーヴェン/交響曲 第8番 第2楽章との類似。後者は初めてメトロノーム記号が記されたシンフォニーで、番→分音符=88と指定されていると。へぇ〜、面白い。

ビゼー/「カルメン」第1幕への前奏曲から「運命の動機」。チャイコフスキーは1876年1月にパリで「カルメン」を鑑賞し、感激して泣いた。そして自作の交響曲 第4番 第1楽章冒頭にそれを引用した。そして同第1主題も「カルメン」の”アラゴネーズ”(第4幕への間奏曲)に類似している。さらにベートーヴェン「運命の動機」も登場。

最後はR.シュトラウス/交響詩「死と変容」終結部が演奏された。これがなんとJ.ウィリアムズ/映画「スーパーマン」愛のテーマに生まれ変わったという!そして「スーパーマン」メインテーマを演奏。今まで聴いたことがない速いテンポ。驀進するスーパーマンだった。以前、大植/大フィルの演奏でこれを聴いたときは肝心のところでトランペットが音をはずし頭を抱えたが、今回はノーミス。鮮やかだった。

アンコールはイスラエル国家希望(ハティクヴァ)」の旋律がスメタナの「モルダウ」に似ているという話。これについての詳細を知りたい方は→こちら。「モルダウ」は中程の「農民の踊り」(結婚式の場面)などをカットした短縮版の演奏。まるでNHK「名曲アルバム」みたい。

オーケストラの楽員が去った後、最後に大植さんがピアノでサン=サーンスの「ブルターニュの歌による3つのラプソディ」(3 Rhapsodies sur des cantiques Bretons)Op.7を弾いてくれるサーヴィスも。えっ、どうしてこの曲かって?聴けば分かる。試聴は→こちら

なお、「交響曲」という日本語訳は森鴎外によるものだとのお話も。非常に分かりやすく、ユニークでエキサイティングなレクチャー・コンサートだった。

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コメント

 更新お疲れ様でした。ハノーファー音楽大学終身正教授のレクチャー、内容が気になっていました。雅哉さんのお陰で、内容の片鱗を知る事が出来ました。感謝です。さすが大植さん、研究熱心といいますか・・・オタク(尊称です)といいますか(笑)

 「死と変容」とスーパーマンの愛のテーマは、ビックリしましたね。しかし、前半にJ.ウィリアムズ+後半にR.シュトラウス、というプログラムも、やってみれば面白いかも知れませんね。

投稿: ヒロノミンV | 2011年9月12日 (月) 22時05分

ヒロノミンVさん、コメントありがとうございます。大阪フィル事務局の表現を借りれば、大植さんは「雑学王」だそうですcoldsweats01

ジョン・ウィリアムズがクラシック音楽から色々取り入れているという話は昔からあって、「スター・ウォーズ」(エピソード4)公開当時にTBS「オーケストラがやってきた」で故・山本直純さんが「王座の間とエンドタイトル」冒頭のファンファーレはメンデルスゾーンの「結婚行進曲」で、それに続く弦の旋律はエルガー「威風堂々」に由来するという話をしていました。

投稿: 雅哉 | 2011年9月13日 (火) 08時48分

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