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「大阪クラシック2011」最終日/トリプティーク/遂に実現!大植英次の「大阪俗謡による幻想曲」

9月10日(土)早朝、「大阪クラシック」最終公演の整理券を確保すべく大阪市役所前へ。

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午前6時の段階で既に100人並んでいた。6時20分、列は200人を超える。7時10分、座席指定券600枚は既に超過し、ブロック指定立見券200枚へ突入。

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こうして、整理券が配布される8時30分の時点では、とっくに予定枚数を終了していた。

【第77公演】@大阪市中央公会堂 大集会室

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大阪フィルハーモニー交響楽団弦楽セクション(コンサートマスター:長原幸太)で、

  • モーツァルト/ディヴェルティメント ニ長調 K.136
  • 芥川也寸志/トリプティーク

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芥川は生前、中国から若い奏者を日本に招待し、自分が音楽監督をしていた仙台フィルに入団させていたそう。そのひとりが現在、大フィルのヴィオラ奏者である周 平さんであると紹介された。

トリプティーク」第1楽章(アレグロ)は全弦楽器のユニゾンで開始される。これが鮮烈な印象を与える。民族的(アジア的)で激しい。第2楽章(アンダンテ)は「子守唄」。日本的叙情溢れる音楽。チェロとヴィオラにノック・ザ・ボディー(楽器の胴体を拳で叩く)という珍しい奏法が登場し、生命感がある。第3楽章(プレスト)は祭囃子。リズミカルで心地いい。

さすが世界に誇る大フィルの弦楽セクション。文句があろう筈がない。滅多に聴けない貴重な体験だった。

アンコールはディベルティメントの第3楽章(プレスト)をさらに速く!スリリングで面白かった。

【第80公演】@ANAクラウンプラザホテル大阪 1Fロビー

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クラリネット:金井信之 ピアノ:城 沙織 で、

  • ヒンデミット/クラリネット・ソナタ
  • テンプルトン/ポケット・サイズ・ソナタ 第2番

ヒンデミットは1939年初演。「暑苦しい曲ですみません」と金井さん。

アレック・テンプルトン(1909/10-1963)はイギリス生まれ。アメリカに渡りジャズ・ピアニストとして活躍、ベニー・グッドマンに楽曲を提供したという。第1楽章は都会の夜の雰囲気。第2楽章はガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」を彷彿とさせる。第3楽章は軽妙洒脱。素敵な音楽を聴かせてもらった。

【第83(最終)公演】@三菱東京UFJ銀行 大阪東銀ビル

大植英次/大阪フィルハーモニー交響楽団で、

  • リスト/交響詩「レ・プレリュード」(前奏曲)
  • 大栗裕/大阪俗謡による幻想曲
  • レスピーギ/交響詩「ローマの松」

大植さんは「大阪クラシックは今年で6年目。夫婦でいえば鉄婚式です!」と。

平松市長によると、「大阪クラシック2011」の来場者はのべ4万8千5百人に達したそう。「この場に立って思うのは、市長になって良かったなぁ」としみじみ。客席からはやんややんやの大喝采。

大植さんから市長に大阪フィル野球チーム「背番号18」のユニフォームをプレゼント。平松さんは第18代大阪市長にあたるのだそう。そして「来年以降も大阪クラシックを続けて行きます!」と力強く宣言。

リストの「レ・プレリュード」はアドルフ・ヒトラー(←大植さんは「ある方」と表現)率いるナチス・ドイツが自分たちのテーマ曲のように使用したために、8年前に大植さんが取り上げるまで、戦後ドイツでは一切演奏されることがなかったという。

しかし、カラヤン/ベルリン・フィルは同曲のステレオ録音を残している。疑問に思って帰宅後調査してみると、驚くべき事実が判明した!彼らは戦後レコーディング・セッションのみで、実際の演奏会で取り上げたのは1939年と42年だけだったのだ(参考資料は→こちら)。

フランスの詩人ラマルティーヌの「詩的瞑想録」の一節が楽譜に引用されており、大植さんがそれを読み上げた。

我々の一生はその厳粛な第1音から死への前奏曲にほかならない。愛はすべての生の輝かしい夜明けである。しかし嵐が吹き荒び、青春の幻想と希望を打ちのめさない運命がどこにあろう?人はそのこのように傷つけられた心と平和に安穏とすることが出来ない。そんな中、戦いを告げるラッパが鳴り響くとき、その理由がなんであれ、我々は我が身を戦列に加えるのだ。

重々しく力強い序盤。半ばに登場する叙情的主題の清らかさ!そこでは真・善・美が一体となっていた。

大阪俗謡による幻想曲」成立のエピソードは下記記事に詳しく書いた。

「朝比奈先生がベルリン・フィルで大阪俗謡を指揮したのは1956年。この年に僕も誕生しました」と大植さん。「随分前からこの曲を振って欲しいという要望があったのですが、引用されている大阪の祭囃子(天神祭と生國魂神社の獅子舞)を知ってからでないとと、機会をうかがっていました」

ベルリン・フィルのアーカイブにはこの曲の原典版スコアが保管されている(現在演奏されているものは作者が記憶だけで書き起こした70年改訂版)。大植さんはベルリンでその原典版を見てきたという。

また冒頭のラ・レの音は日本的雰囲気を醸し出しており、中盤オーボエ・ソロに伴う弦のピッチカートは三味線を模しているとの解説も。

速めのテンポで開始され、土俗的な踊りへ。弦の刻むリズムが生き生きとしている。そして終結部の加速が凄い。鮮やか!

ローマの松」は華やかなサウンド。ナイチンゲールが鳴く所では陶酔的な美しさ!息の長い節回し。そして最後の「アッピア街道の松」は大植さんが好きな言葉”心音”そのもの。生命の鼓動が感じられた。勝利に向かっての確信に満ちた行進がそこにはあった。

アンコールは夕やけ小やけ/七つの子/ふるさと。そして八木節

阪神タイガースのはっぴを着て、腰を振る大植さん。チェロの近藤さんが、広島出身でカープ・ファンの長原コンマスを見やり、ニヤニヤする。

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長原さんは「大植さんも広島生まれの癖に、しょーがないなぁ。このお調子者め!」と言いたげな苦笑いを浮かべながら、ヴァイオリンを弾いていた。

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こうしてたのしい愉しい、夢のような一週間は瞬く間に終わりを告げた。ありがとう大植さん、そして大フィルの仲間たち。また来年!

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