「大阪クラシック2011」6日目/ニーノ・ロータの九重奏曲
9月9日(金)大阪市中央公会堂 中集会室へ。
【第67公演】平日17時開演だが、満席で立ち見もいる大盛況。
フルート:井上登紀 オーボエ:大森悠 クラリネット:田本摂理 ファゴット:宇賀神広宣 ホルン:藤原雄一 ヴァイオリン:佐久間聡一 ヴィオラ:吉田陽子 チェロ:織田啓嗣 コントラバス:松村洋介 で、
- ニ-ノ・ロータ/九重奏曲
「太陽がいっぱい」「ロミオとジュリエット」「ゴッドファーザー」などの映画音楽で知られるニーノ・ロータ。映画「道」「カビリアの夜」「甘い生活」「8 1/2」など多くの作品で組んだ朋友フェデリコ・フェリーニ監督は「ニーノ・ロータは天使のような人だった」と回顧している。今年は彼の生誕100年にあたる。
CDで九重奏曲を聴いたヴィオラの吉田さんは、今年の「大阪クラシック」で是非演奏したいと考えた。しかし、日本にこの曲の楽譜は1セットしか存在せず、しかもレンタル楽譜。期間中に調達出来ないことが判明した。そこで何とイタリアからわざわざ取り寄せたそうである!彼女の並々ならぬ熱意がこの公演を可能にした。
基本的に親しみやすい調性音楽であるが、時に調子外れになるところがロータらしい。
第1楽章アレグロは軽やか。フェリーニの映画に登場するサーカスの道化師を連想させる。またヴァイオリンが哀愁漂う旋律を奏でる。第2楽章アンダンテはオーボエが「ゴッドファーザー」的。ハーモニーが美しい。第3楽章はフェリーニの「オーケストラ・リハーサル」を連想させ、第4楽章(カンツォーネと変奏)はゴンドラに揺られている雰囲気の歌と、多彩なアレンジが愉しい。そして何かに駆り立てられるような第5楽章はタランテラ(ナポリの舞曲。蜘蛛のタランチュラに噛まれると、その毒を抜くために踊りつづけなけれならないとするエピソードから名付けられた)。ロッシーニから脈々と続くイタリアの伝統を感じさせた。
まるで「天使の悪戯」みたいな愛すべき傑作。これが生で聴けて本当に嬉しかった。吉田さん、ありがとう!是非またどこかで演奏してください。必ず聴きに行きます。
【第68公演】@相愛学園本町講堂
ピアノ:岡田敦子 ヴァイオリン:橋本安弘、中西朋子 ヴィオラ:西内泉 チェロ:松隈千代恵 で、
- ブラームス/ピアノ五重奏曲 ヘ短調 Op.34
演奏時間40分を要する大作。この曲はもともと弦楽五重奏曲として書かれ、後にブラームスとクララ・シューマンが連弾出来るよう2台のピアノのために編曲され、最終的に現在の形になったそう。
第1楽章は憂いに彩られ、暗い情念を感じさせる。それはクララへの想い(叶わぬ憧れ)。第3楽章から第4楽章にかけ気迫に満ちた演奏で、聴き応えがあった。
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