大植英次「青少年のためのコンサート」2011! ~大地への讃歌~
9月1日(木)、NHK大阪ホールへ。
大植英次/大阪フィルハーモニー交響楽団による「青少年のためのコンサート」。会場は中高生でいっぱい。今回は3・11の東日本大震災を受け、~大地への讃歌~という副題が付いている。
- シベリウス/交響詩「フィンランディア」
- グローフェ/組曲「グランド・キャニオン」より”山道を行く”
- ラヴェル/ツィガーヌ
(休憩) - ラヴェル/「ダフニスとクロエ」第2組曲
(質問コーナー) - ベートーヴェン/交響曲第6番「田園」より第2楽章”小川のほとり”
- ドヴォルザーク/序曲「謝肉祭」
- アンコール「大地讃頌」(大木惇夫 詞/佐藤眞 曲)
震災の直後、大植さんはドイツや日本でチャリティー・コンサートを開催し、4月末には被災地の大槌町や釜石市などを訪ねて現地の音楽家や学生たちとミニ・コンサートを開いたり、避難所の方々一人一人から話を聞かれたことなどを語られた。
「フィンランディア」はフィンランドがロシアの支配に苦しむ序盤、重々しい足取りで開始される。やがて愛国心の高まりとともに輝かしい響きに変貌し、リズムにアクセントが効く。後に「フィンランディア賛歌」という合唱曲にもなった中間部の旋律は大フィル自慢の弦楽器の音色が美しい。
「グランド・キャニオン」ではロバの足音をココナツの殻を台に叩きつける”ココナッツシェル”が使用された。この打楽器は楽譜に指定されているそうで、初めて見た。大植さんは途中からカウボーイ・ハットを被りスカーフを巻き、ノリノリで指揮。
「ツィガーヌ」とはロマ(昔は”ジプシー”と呼ばれていた)のこと。ヴァイオリン独奏は石上真由子さん。「佐渡裕とスーパーキッズ・オーケストラ」のコンサートミストレスとして活躍し、現在は京都府立医大に在学中という面白い経歴の女性。
「ダフニスとクロエ」は繊細な音による情景描写で始まる。終曲「全員の踊り」では音楽が勢いを増すが、そのサウンドはあくまで軟らかい。これは今から39年前、大植さんが初めてオーケストラを指揮した想い出の曲だそう。
質問コーナーでは大植さんが客席に降り、「あの楽器はなんですか?」「指揮は難しいですか?」などの疑問に答えた。「大植さんの好きな楽器はどれですか?」に対しては「大阪フィルハーモニー交響楽団です!」と。また「今日は何人くらいの楽員がステージに乗っているのですか?」に対して「96人です(ダフニスとクロエ)」とのこと。
穏やかな「田園」を経て、「謝肉祭」は快速球。開放感があった。大植さんがこの曲のタイトルを「動物の謝肉祭」と連呼していて、横で長原コンサートマスターが笑っていた。あのMC、NHKテレビで放送時にはどうするんだろう??
事前に歌詞付きの楽譜が配布されており、最後は客席全員が起立し「大地讃頌」を歌った。爽やかな秋風の吹く夜のひと時であった。
大植さんが「青少年のためのコンサート」を指揮をされるのは多分、今回が最後。僕がこれを聴くのは4回目くらいかな?今宵のことはしっかり胸に刻んでおこう!
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